奄美、沖縄に臨時攻撃拠点、自衛隊も連携…米軍構想に住民の存在はなく 鹿屋、川内の県本土部隊も増強 専門家「共同使用広がる」
2022/05/26 10:00

日米仏共同訓練のため海上自衛隊鹿屋航空基地に飛来した米輸送機MV22オスプレイ(中央)。鹿屋基地の共同使用が進む=2021年5月14日、鹿屋市の同基地
昨年12月末、鹿児島県鹿屋市内の飲食店。地元選出の森山裕衆院議員は親しい市議約10人に、海上自衛隊鹿屋航空基地(同市)への米空軍無人偵察機の一時展開計画案を明かした。
関係者によると、米側は無人機MQ9の日本展開を1年以上前から打診。遅くとも昨年秋ごろには配備先に鹿屋が浮上し、水面下で着々と準備が進んでいた。
日米の念頭にあるのは中国の海洋進出だ。昨年10月には中国とロシアの艦艇計10隻が津軽海峡を抜け、日本列島を一周する形で大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過した。今年も活発な動きを見せている。
防衛省幹部は「鹿屋は地理的に重要な位置にある。配備は日米同盟の強化につながり、遅れている日本の無人機技術にも資する。ウィンウィンだ」と話す。
既に鹿屋基地は米軍の補給源の役割を果たしている。日米物品役務相互提供協定(ACSA)に基づき、2020、21年度に燃料などを提供した件数は2年連続で最多ペース。全国に占める割合も大きい。
中国をにらむ県内の部隊強化は鹿屋にとどまらない。陸自奄美駐屯地(奄美市)にミサイルと電子戦部隊を配備。陸自川内駐屯地(薩摩川内市)には22年度末、電子戦部隊が置かれる。西之表市馬毛島では米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)移転を伴う空自基地整備計画が進む。
陸海空で増強を急ぐ背景には、米海兵隊の「遠征前方基地作戦」がある。有事の際、米軍は奄美や沖縄に臨時の攻撃拠点を分散させて戦い、自衛隊はミサイルや電磁波なども使って連携する構想だ。だが、そこに住民の存在はない。
奄美の自治体は武力攻撃の際の国民保護計画を策定しているが、ミサイル射程内で応戦する日米の作戦は前提としていない。ある担当者は「避難に自衛隊の支援は必須だが、どう動いてくれるか分からない」。鹿屋基地の複数の隊員も「一時配備は報道で知った。これからどうなるのか」と困惑する。
無人機の鹿屋配備計画の説明で、防衛省の担当者は「一般に米軍への攻撃は考えにくい」と発言。鹿屋が攻撃されるリスクは高まらないとの見方を示す。
米軍の動向に詳しい沖縄国際大の野添文彬准教授(国際政治学)は「米軍は日本全土を使いたいと考えており、共同使用が広がるのは確実。本来、住民の安全とセットで考えるべき問題で、防衛省は高まる攻撃リスクや市民生活への影響を丁寧に説明すべきだ」と指摘した。
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