最近の車、ヘッドライト明るすぎる? 視認性高いLED普及、ハイビーム切り替え忘れも まぶしさ感じたら減速を

 2022/05/30 10:00
まぶしい対向車のライト。道路の段差や傾斜も影響する=鹿児島市上荒田町
まぶしい対向車のライト。道路の段差や傾斜も影響する=鹿児島市上荒田町
 「対向車のヘッドライトが明るすぎて運転しにくい。みなさんは困っていませんか」。南日本新聞の「こちら373(こちミナ)」に鹿児島市の40代女性からこんな声が寄せられた。確かにそう感じる。以前に比べて「まぶしい」と感じる車が増えているのはなぜだろうか。

 鹿児島トヨペット営業本部サービス部(鹿児島市西千石町)の東郷悠希係長は「LED(発光ダイオード)ライトの普及が要因の一つ」と指摘する。従来のハロゲンライトと比べ、LEDライトは省電力で明るく視認性が高い。

 LEDを後付けした車も増えた。だが、取り付け後に光軸(光が指す方向)を調整しないと、光が上下左右ずれたまま走ることになる。県自動車整備振興会(同市谷山港2丁目)の淵脇一臣専務理事は「ライトを調整できる工場で点検してほしい」と話す。

 もう一つの要因は、ヘッドライトのハイビーム(上向きの前照灯)を使う機会が増えたこと。もともと道路交通法は遠くまで見やすいハイビーム(前方約100メートル照射)を基本としている。さらに警察庁は2017年、交通ルールやマナーをまとめた「交通の方法に関する教則」を改正、上向きライトの原則活用を明文化した。

 対向車とすれ違う時や先走車がいる場合は、下向きのロービームにすることを義務付けているが、その切り替えを忘れるケースが多い。常にハイビームでいいと誤解している場合もありそうだ。最近は自動で切り替わる車も増えているが、悪天候などで作動しないこともあるという。

 まぶしいライトを目に受けると、一瞬視力を失った状態になったり、自車のライトと交錯する歩行者や自転車が見えなくなる「蒸発現象」が起きたりする。県警交通企画課の山賀宏司理事官は「こまめなライトの切り替えで緊張感のある運転を」と呼び掛ける。

 ベテランドライバーに対応を聞いた。鹿児島第一交通鹿児島営業所(同市宇宿2丁目)の永仮忍さん(53)は「まっすぐ前を見て対向車のライトは見ない。まぶしいと感じたらスピードを落として」とアドバイスする。

 手動でヘッドライトの角度を変えられるダイヤル(レベライザー)がついた車もあり、必要に応じて高さを調整できる。「自分の車の点検をしっかり」と永仮さん。自分が見やすい場合は、相手はまぶしく感じているかもしれない。互いに思いやりを持って、安全運転を心掛けたい。