探していた恩人は、照れくさそうに「放っておけなかった」…満員電車で嘔吐された女子高生、助けてくれた大学生と念願の再会

 2022/06/01 20:57
5月、女子高校生からお礼の品を受け取る岩拓夢さん(左)と伊東未来さん
5月、女子高校生からお礼の品を受け取る岩拓夢さん(左)と伊東未来さん
 鹿児島市電の車内で乗客の吐しゃ物を浴びた鹿児島市谷山地区の女子高校生(18)が、汚れを取り除いてくれた大学生の男女と念願の再会を果たした。「親切にしてもらい、本当にありがとうございました」。女子高生のお礼に、2人は「放っておけなかった」と照れくさそうに笑みを浮かべた。3人は「ささやかな助け合いの輪が広がればいい」と語り合った。

 4月25日夜、鹿児島国際大学3年の岩拓夢さん(21)と鹿児島大学2年の伊東未来さん(19)は食事の帰りに、女子高生と同じ市電に乗り合わせた。うたた寝していた女子高生の前に立っていた男性が突然吐き始め、車内は騒然となった。

 隣に座っていた伊東さんは、身動きを取れずにいる女子高生をとっさに引き寄せた。運転士に「(車内の)後ろで吐いている人がいます」と伝え、3人は次の電停で降車。岩さんがコンビニでタオルや水を買い、2人は頭などに付着した吐しゃ物を拭き取った。

 女子高生は母親に連絡。岩さん、伊東さんは迎えの車が来るまで付き添ってくれた。だが、名前や連絡先は聞かずじまいだったため、5月上旬、本紙を通じ「直接お礼を言いたい」と呼び掛けた。

 岩さんの大学の後輩の父親が新聞記事を目にし、後輩から「先輩のことでは」と教えてもらった岩さんが南日本新聞に連絡した。

 女子高生は5月26日夜、2人と再会した。「自分が吐かれた立場だったらと思うと、放っておけなかった。元気そうで良かった」と話す2人に「自分も困っている人には優しくありたい」と誓った。

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