大麻を始めたのは中学3年、興味本位から すれ違う全員が警察官…過剰摂取で妄想も そして逮捕「親の泣き顔見て失うものの大きさに気づいた」 鹿児島県内 10、20代の摘発最多

 2022/06/17 11:00
グラフ・県内の大麻取締法違反容疑の摘発人数
グラフ・県内の大麻取締法違反容疑の摘発人数
 若者の大麻乱用が鹿児島県内でも顕著になっている。県警が2021年に大麻取締法違反容疑で摘発した39人中、10代(9人)と20代(19人)は全体の7割を占め、過去10年で最多だった。昨年、別の県警に所持容疑で逮捕された男性(24)は「親の泣き顔を見て失うものの大きさに気づいた」と後悔を口にした。

 逮捕された男性は、県外に住んでいた中学3年の頃に大麻を始めた。きっかけは遊び仲間の先輩への憧れ。「吸ったらどうなるのか興味があった。かっこいいと思っていた」。感覚が鋭くなったり、気分が明るくなったりするのが快感だったという。

■「寂しさを埋めるため」

 鹿児島で1人暮らしを始めた頃から、友人伝いで購入するようになった。「寂しさを埋めるのにちょうどよかった。大麻を通じて知り合った友だち2〜3人と吸っていた」。たばこや酒と同じ嗜好(しこう)品の一つ-。そんな感覚だった。

 一時的に不安や妄想、不快な気分に駆られる「バッドトリップ」に陥ったことも。「過剰摂取や落ち込んだときになりやすい。すれ違う全員が警察に思えて、誰かに捕まるんじゃないかと被害妄想が膨らんだ」

 大麻を所持した疑いで昨年、逮捕された。職場に迷惑を掛け、悲しむ親の姿を見て二度とやらないと誓った。それでも、周囲の誘いに気持ちが揺らぐときがあるという。

 「繁華街を歩いていると、大麻独特の匂いや充血した目から『この人、吸っているな』と思える若者をよく見かける。ガラの悪い人だけではない」

■非難は逆効果

 交流サイト(SNS)を通じて売買が広がっているとみられ、画面上では大麻を意味するブロッコリーの絵文字や売り手を指す「プッシャー」、買う行為を表す「ネタ引き」などの隠語が飛び交う。

 薬物・アルコール依存症の患者を診療する森口病院(鹿児島市)の田中大三院長(57)は「将来に希望が持てず、孤独で居場所がない若者が、人生を大切にできずに、手を出す傾向がある。新型コロナウイルス流行による閉塞(へいそく)感がそれを助長している」とみる。

 大麻に含まれ、幻覚作用や記憶への影響を及ぼす「テトラヒドロカンナビノール」を成長期に摂取すると、成人より依存の危険度が高まると指摘。「薬物はダメと非難するだけでは逆効果。将来への悪影響が大きいことを教えるとともに、自分のためだけでなく、周囲のためにもやめないといけないと思わせる環境が大切」と話した。