入社13年目、3人の子育てる31歳女性「新入社員時代から給料変わらず」 鹿児島の最低賃金821円 だから慢性的な人手不足、職場はギスギス…九州3紙労働者アンケートより

 2022/06/17 15:00
 南日本新聞(鹿児島市)、熊本日日新聞(熊本市)、西日本新聞(福岡市)の3紙は、最低賃金(最賃)が全国最低レベルの県が多い九州の実情を踏まえ、賃金や時給について労働者向け合同アンケートを実施した。鹿児島県内の回答者のうち、9割が最賃(2021年度821円)が「安い」と回答。現在の給与・時給についても「安い」「やや安い」と不満に感じている人が8割強に上った。新型コロナウイルスによる経済への影響や、世界情勢の変化に伴う値上げが広がる中、労働者からは企業や国に賃金格差解消を求める声が上がる。

 地場の小売店で正社員として働く出水市の女性(31)は、入社13年目となった今も新入社員のころから給料が変わらないという。月に手取り17万円ほど。「パートやアルバイトの時給も県の最低賃金。だから慢性的な人手不足。そのせいで職場もギスギスする。最賃でいい人材が集まるわけがない」と憤る。

 家族5人暮らし。通勤や保育園への送迎などに車が欠かせない生活で、最近のガソリン高や食料品の値上げラッシュが家計に重くのしかかる。「転職したいが、3人の子どもがいる女性が正社員の仕事を見つけるのはハードルがとても高い。同世代でパートに転換させられた人もいる。女性にとって本当に不利な社会」

 鹿児島市の急性期病院で働く看護師滝口学さん(44)は、2年前に神戸市の病院から転職した。仕事内容は変わらないが、年収は80万円減った。「ここまで違うのかと驚いた。忙しさは全く同じなのに、賃金に差があるのはがっかり。家賃など居住費以外の生活費は都市部と変わりなく、鹿児島の最低賃金は安い」と感じている。

 迫る参院選では「賃金上昇」を、最も重要な争点と捉えている。「日本は人件費を抑えすぎている。大企業だけでなく、中小も引き上げに取り組むよう、しっかり検証しながら早く進めてほしい」と要望した。

 鹿児島県経営者協会の浜上剛一郎専務理事(63)は「ウクライナ情勢などで物価高の状況が続いており、最低賃金を上げてほしいという社会的要請が高まっているのは十分認識している。上げられるところは上げないといけない」と指摘する。

 一方、「経営者の中にも弱者がおり、業績の低迷が続く会社は多い。そのような会社まで一律で賃金を上げ、結果的に雇用が守れないということにつながってしまえば意味が無い」と話した。