生後間もない長男が事故で寝たきりに 長女を抱え日に100回のたん吸引、外出方法の検索・・・ 「疲れ切った」経験から孤立しがちな医療的ケア児の家族をつなぐ

 2022/06/18 11:53
医療的ケア児の家族や支援者でつくる鹿児島県家族会を束ねる柿内祥子さんと長男の瑛斗ちゃん
医療的ケア児の家族や支援者でつくる鹿児島県家族会を束ねる柿内祥子さんと長男の瑛斗ちゃん
■鹿児島県医療的ケア児者家族会代表
 柿内 祥子(かきうち・しょうこ)さん

 病気や障害で日常的に医療的ケアが必要な人は、鹿児島県内で子どもを中心に約300人いるとされる。「医療技術の進歩で救えなかった命が救えるようになり、今後さらに増える。現状を発信し、地域社会の関心や理解を深めたい」。家族や支援者でつくる県家族会を束ねる。

 長男の瑛斗ちゃん(5)は事故で寝たきりになり、人工呼吸器や経管栄養が欠かせない。生後8カ月で始まった在宅生活は過酷だった。四つ年上の長女を見ながら、1日100回以上たんを吸引した。命に関わるため、常に気は休まらない。就寝中もたんが絡む音で目が覚めた。

 医療機器を携え外出する方法、災害時の避難場所、療育施設の利用手続き…。分からないことも次々に出てくる。ケアの合間にインターネットで調べたり、同じ境遇の家族を探して連絡を取ったり。「疲れ切った」

 気持ちが落ち着き始めたのは、栄養管理を独学で学び、瑛斗ちゃんの体調が安定してから。3年近くが過ぎていた。

 昨年5月、家族会を結成。その前年、新型コロナウイルス禍で会えなくなった保護者と鹿児島市の家族会をつくったのがきっかけで仲間の輪が広がった。

 「鹿児島は相談機関の設置など、取り組みが遅れているのが実情。孤立しがちなママたちの声を集めて、環境を良くしたい」。3月発足した全国組織にも家族会として参加する。

 夫、次男を含めた5人で鹿児島市に暮らす。瑛斗ちゃんに歌やダンスを披露するのが家族の日課。43歳。