60年前から検察の不服申し立て禁止のドイツ…「日本は時代遅れ」 大崎事件再審棄却で弁護団 税金で集めた証拠は「捜査機関が私物化」
2022/06/24 09:30

「大崎事件は再審法の不備を端的に体現している」と話す鴨志田祐美弁護士(左)=22日、東京都千代田区
「検察官の不服申し立てがなかったら、大崎事件の再審請求は20年前に終わっていた。今日の結果を法改正につなげなければならない」と語気を強めた。
大崎事件は第1次請求審の地裁(2002年)、第3次の地裁(17年)・福岡高裁宮崎支部(18年)と計3回の開始決定が出たが、その度に検察が抗告し、上級審で覆った。第3次では高裁の抗告理由を否定しながら、最高裁が職権による調査で決定を取り消す異例の経緯をたどった。
日弁連は今月16日、再審法改正実現本部を設置した。「検察の抗告を認めないよう刑事訴訟法で規定すべきだ」と小林元治会長。大崎事件発生から43年、第1次請求から27年経過しても闘いが続く原口アヤ子さん(95)が念頭にある。
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「いまだに再審公判が始まらないことが信じられない」。大崎事件の弁護団会議に加わっていた鹿児島大元教授の指宿信・成城大教授(刑訴法)は話す。
1992年、第1次請求の準備をしていた原口さんをゼミ生と訪ね、大崎事件の現場を訪れた。当時の学生はもう50代。「あまりにも時間がかかりすぎている。今の再審法は時代遅れだ」と語る。
再審は冤罪(えんざい)を救済する最終手段とされながら、500を超える刑訴法の条文に再審に関するものは19しかなく、一度も改正されていない。日本の刑訴法制定に影響を与えたドイツは約60年前から検察の不服申し立てを禁じている。
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捜査機関が独占する証拠の開示に規定がないのも課題だ。弁護側は現存する数少ない証拠から再審開始に必要な「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」を見いださなければならない。規定がないため、証拠開示の有無はそのときの裁判官の裁量に委ねられている。
検察は大崎事件第2次請求審で「第1次で開示した証拠を超える証拠は存在しない見込み」と回答。地裁も開示の勧告をせず、消極的な訴訟指揮に終始した。弁護側による即時抗告審で高裁支部は証拠開示を勧告し、捜査報告書など213点が開示された。
検察はその後も「証拠は存在しない」としたが、第3次請求審でネガフィルム46本の存在が明らかになった。その「古い新証拠」を手がかりに弁護側は第4次で救命救急医に被害男性の鑑定を依頼。絞殺ではなく「事故死」とする新証拠につながった。
「布川事件」の冤罪被害者桜井昌司さんは「公益のため、税金で集めた証拠を捜査機関が私物のように扱うのはおかしい。今の制度のままでは冤罪はなくならない」と訴える。
【連載「遠い再審」大崎事件請求棄却より】
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