エネルギー問題だんまりの候補者に大学生が喝「目標だけでなく具体案示して」 原発に軍事攻撃リスク、再エネ導入は道半ば…でも第一声で言及なし【参院選 論点を問う】
2022/07/01 11:00

川内原発1号機(左)と2号機=3月8日、薩摩川内市久見崎町
九州電力が定期検査中の川内原発2号機(薩摩川内市)の原子炉を起動した6月11日、稼働に反対する市民団体のメンバーがゲート前で声を張り上げた。
ロシア軍は2月の侵攻直後、1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発を攻撃して制圧。原発の潜在的なリスクが浮き彫りになった。これを受け全国知事会は3月末、原発への軍事攻撃に備え、自衛隊による迎撃態勢や部隊配備に万全を期すよう国に要請した。
東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新規制基準で原発の運転期間は原則40年と定められ、テロ対策施設の設置が義務付けられた。原子力規制委員会が認めれば最長20年の延長が可能で、40年の運転期限が迫る川内原発では昨年10月から延長に必要な手続きの特別点検が進む。ただ、点検はあくまで原子炉格納容器などの劣化状況を調べるのが中心。新規制基準でも軍事攻撃対策は対象外だ。
池辺和弘社長は「特別点検の結果を見て申請するかを判断する」と従来の説明を続けるが、「原発の最大限活用」も強調。安全対策に巨費を投じており、延長申請は確実とみられる。
国は2050年の脱炭素社会実現に向け、昨年閣議決定したエネルギー基本計画で再生エネルギーを主力電源に据え、「最大限導入」と明記。30年度の電源構成比率も22~24%から36~38%に引き上げた。同年度の温室効果ガス排出量も13年度比で46%削減すると表明した。
ただ、再エネ導入は道半ば。福島第1原発事故の影響で停止した原発の再稼働は進まず、脱炭素化の流れで火力発電所が休廃止して電力供給力は低下。今夏は電力需給の逼迫(ひっぱく)やウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰が問題になっている。安定供給の面から原発再評価の声も高まっている。
再エネの普及を進める国は洋上風力発電を切り札と位置付ける。鹿児島県は適地とされ、薩摩半島西方沖で複数の事業者が大規模な洋上風力発電計画を構想している。事業化には県から国への情報提供が必要。県は「地元の利害関係者の理解が進んでいない」として本年度も見送った。沿岸自治体では事業者が説明会を開くが、理解の前提となる論議自体が盛り上がっているとは言い難い。
南日本新聞が毎春実施する世論調査では、川内原発の運転延長について3回目の今回が反対50.4%、賛成47.5%と、賛否が最も拮抗した。賛成とした人も48.5%が「再エネ普及まで必要」と答え、推進を求める声は多い。ただ、22日公示の参院選第一声で原発や再エネに言及した鹿児島の候補者はいなかった。
気候変動問題に取り組む鹿児島大学3年の中村涼夏さん(20)は「毎回の選挙でエネルギー問題が後回しになっている」と指摘する。「再エネ推進を掲げるなら、どんな手法とスケジュールで進めるのか、目標だけでなく具体案を示してほしい」と注文した。
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