非正規公務員は使いすてのコマ? 50代の会計年度任用職員、格差是正を求め政党代表に手紙を書いた。返事はまだ来ない

 2022/07/04 07:21
男性が政党に出した手紙(一部加工してあります)
男性が政党に出した手紙(一部加工してあります)
 「使い棄(す)てのコマのよう。使命感を安く買いたたかれている。立場が弱い非正規公務員にも目を向けてほしい」。鹿児島県内で働く会計年度任用職員の50代男性はこの春、ある政党の代表宛てに手紙を出した。2020年度から地方自治体の非正規公務員を対象に導入された会計年度任用職員制度は処遇改善が目的だが、不安定な雇用で正規職員との格差は開いたまま。その多くが教育や福祉などの住民サービスを現場で支える。

 「時間給で働く会計年度任用職員は常勤、パートに比べてさらに力がない」。自嘲気味につぶやく男性は小学校の英語指導支援員を務める。小学校の英語授業をサポートする指導員は、市町村が英語が堪能な地域の人材を雇用し、各校に派遣する仕組み。男性も学級担任やALTと連携し、「子どもたちに英語の楽しさにふれてもらうことが使命」と、15年以上続けてきた。

 会計年度任用職員に移行してからは、採用は公募になり原則1年更新になった。勤務は週2~3日で時間給。働き始めた当初に比べ、手取り額も減っている。

 とても家族を養えないため、複数の仕事をかけもちする。そんな中、昨年度通勤手当が廃止された。男性の住む地域は交通の便が悪く、自宅から車で複数の学校を回ると20キロ近くになることもあった。

 ガソリンの値上げで厳しさは増し、支援員の仲間と教育委員会に交渉した。本年度は1日で2校を移動すると2校間の旅費のみ支給されることになり、通勤手当は出ない。

 立教大学の上林陽治特任教授によると、通勤費は賃金ではなく仕事の処理で実際にかかった費用(費用弁償)と見なされる。「時間が短い会計年度任用職員も全額保障するのが基本」という。

 ただ、ほかにも短時間勤務の任用職員に通勤手当を出さない自治体はある。男性は「業務のための移動がなぜ対象にならないのか」と肩を落とす。

 授業数もカットにされた。「指導員頼みにせず、教師に英語力をつけてもらうため」という説明だった。「英語が得意でない先生もいるのに大丈夫だろうか」と懸念する。

 海外で育ち、英語のスキルを磨いた。仲間も外国でのビジネスや留学経験を持つ。昨年、小学校の英語教育に携わる同じ立場の人々にSNS(交流サイト)でアンケートしたところ、多くが同じように低収入と不安定な立場だった。「人の努力や実績を買いたたき、安く使うことに価値が置かれる社会はおかしい」

 非正規公務員の窮状を訴える手紙を見せてくれた。「子どもたちの前に立てば同じ『先生』ですが、賃金格差があり、福利厚生もない。日本の小学校の英語教育はこんな状態で未来がありますか」。まだ返事は来ない。

 (参院選かごしま「託す」より)