ネット投票なぜ実現できない? 海外では導入事例も、国内では不正防止対策に高い壁 限定的な活用を期待 参院選18~29歳アンケート

 2022/07/06 08:22
国内では携帯やパソコンを使った投票はまだ実現していない(写真はイメージです)
国内では携帯やパソコンを使った投票はまだ実現していない(写真はイメージです)
 南日本新聞社が衆院選に関して県内の若者(18〜29歳)を対象に行ったアンケートには「なぜネット投票ができないのか」「スマートフォンから投票できると便利」「投票所に行くのが面倒」などの声が多く寄せられた。デジタル世代の疑問を調べると、ネット投票実施に向けての動きはあるが、不正防止の観点やシステムの安全性確保など実現には高い壁があるようだ。

 若者の投票率向上を目指して活動する「選挙コンシェルジュ鹿児島」のメンバーは、ネット投票をどう考えているのだろうか。

 鹿児島大学3年の山崎彩夏さん(20)は普段から会員制交流サイト(SNS)を利用しており「スマホは生活に欠かせない。若者は何をするにもスマホから。ネット投票ができると、若者の投票率は上がると思う」と期待する。ただ「不正な票が増えるのではないか」との懸念もぬぐえない。

 志學館大学4年の浜崎祐之さん(24)は「いたずら投票が増えそう。手軽さの余り一票の重みが薄れるのでは」と導入には慎重な考えだ。

 海外では、バルト3国のエストニアが2005年の地方選挙でネット投票を導入。IDカードで本人確認を行い、現在では国政選挙でも実施している。

 国内でも導入論議は以前からあった。総務省は20年、海外に住む有権者がスマホやパソコンから投票できる環境を整備しようと、マイナンバーを活用した実証実験を実施。早期の導入を目指していたが、なりすまし、情報改ざんといった不正防止や、膨大なデータを扱う集票システム構築などの問題があり、検討を続けている。

 志學館大学の原清一教授(政治学)は「実現は公正性をどう担保するかが鍵」と話す。ネット投票では民主主義の原則である「秘密投票」の確保が脅かされる可能性がある、と指摘。「特定の政党の支持者が有権者を集め、目の前で投票させるなどの行為が容易にできてしまう」と課題を挙げる。

 一方、投票の権利を行使できない人のための限定的な活用は有効とする。「新型コロナの療養や障害などで投票所に行けない人は多い。全ての有権者の権利を保障するという意味ではネット投票に期待がかかる」と話した。