「フリーランス・バツイチ・子なし」 42歳で農村へシングル移住した女性の体験記がウェブで人気 飛び交う方言は「まるで国際交流」

 2022/07/24 10:31
お気に入りの家具で彩られた自宅でくつろぐ藤原綾さん=霧島市永水
お気に入りの家具で彩られた自宅でくつろぐ藤原綾さん=霧島市永水
 源泉かけ流しの温泉で飛び交う聞き取れない言葉、近所の物産館で買えるお気に入りの薬草茶、あっという間に雑草で埋まる畑-。鹿児島県霧島市の農村部での移住生活を、国際交流のような新鮮さで楽しみ、その体験記をウェブ連載している女性がいる。20回の連載は、出版社サイトの週間ランキングでたびたびトップ10に入るなど人気を集める。

 東京生まれ東京育ちの編集者・ライター藤原綾さん(44)。2021年9月、都内から霧島市永水に越してきた。大手生命保険会社や出版社を経験し、29歳からフリーランスとして美容ライター、ファッション誌の編集、経営者のインタビューなど幅広く活躍。移住後も東京と霧島を行き来している。

 旅行や出張で国内外を巡ったが、東京以外に住むのは初めて。「異文化体験」をつづったエッセー「女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住」を、21年7月から1年間ウェブ連載した。

 エッセーは、独り暮らしの父親の死を機に「自分には地域社会が必要なのでは」と移住を思い立つ経緯から始まる。以後「大好きな硫黄泉に毎日入れる」理想の移住先や物件探し、若者に囲まれた自動車免許合宿、引っ越し、移住後の暮らしなどが、同時進行的にいきいきと描かれている。

 藤原さんは現在、耕運機を乗りこなし、自宅横の約300平方メートルの畑でトウモロコシやトマト、ハーブ類を育てる。念願の温泉に毎日入り、仕事で東京に行くと「肌が荒れてくる」と言うほど「霧島の水が合った」。育てた野菜を料理したり、梅干しを作ったり、お気に入りの薬草茶を煮出したりと「これまで仕事に夢中でなおざりにしてきた“生活”が楽しくて仕方ない」とほほ笑む。

 「なぜ霧島に?」と聞かれたときに名刺代わりになるというエッセーは、集英社のウェブメディア「よみタイ」に掲載中。URLhttps://yomitai.jp/series/fujiwara/

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