養護学校生だった亡き15歳少女の投稿「車いす用スロープなく食事あきらめた」 気付き得た飲食店主は玄関階段を改修 恩師「思い引き継がれた」

 2022/07/30 21:00
新しく作ったスロープを掃除する林栄二郎さん=鹿児島市泉町の「銀の虎」
新しく作ったスロープを掃除する林栄二郎さん=鹿児島市泉町の「銀の虎」
 鹿児島市内の飲食店が玄関口にあった階段を緩やかなスロープに改修した。きっかけになったのは、本紙「若い目」に載った車いすを使う15歳の少女の投稿。掲載から間もなく少女は急逝したが、「誰もが過ごしやすい社会を」という願いは引き継がれた。

 鹿児島市泉町にある飲食店「銀の虎」は、入り口が道路より約30センチ高い位置にある。5月下旬、これまで2段あった階段を奥行き約4メートルのスロープに作り替えた。代表の林栄二郎さん(44)は「車いすの常連客が『安心して酒を楽しんで帰れる』と大喜びしてくれた」と語る。以前は店員の介助で対応していたが、「不自由に感じても、声に出しづらいことがある」と再認識しているという。

 元々年内には改修する考えだったが、工事を急いだのは、2月初旬の「若い目」に共感したからだ。

 身体障害で車いすを利用する宮迫千尋さん=当時鹿屋養護学校中学部3年=が「外出先で食事をしようと思ったが、車いす用スロープが無く諦めた。『自分は迷惑なのか』『好きなものが食べられず悔しい』と感じ、他の障害のある人も同じ気持ちになっているのではないか」と訴えた。

 林さんは「自分は『いずれ』と思っていたことが、当事者にとっては『早く』だと気付いた」と話す。

 しかし、こんな反響を宮迫さんが知ることはかなわなかった。同校高等部に進学直後の4月11日、急病で亡くなった。小学部時代から見守ってきた西育子教諭(55)は「他者に気遣いできる性格で、文章を使って意見を述べることが得意だった。千尋さんの思いが引き継がれていることに感謝したい」としのぶ。

 改修後に宮迫さんが亡くなったことを知った林さんは「自分一人では何も変わらないと思いがちだが、宮迫さんは発信することの大切さも教えてくれた」と悼んだ。