鹿屋 米無人機計画 有事に「攻撃されるのでは」「どこに逃げれば」 住民保護の実効性に不安の声 市計画に駐留想定なく
2022/08/05 09:23

米軍無人機の一時展開に反対する市民=3月14日、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地前
鹿屋基地には9月ごろから1年間、無人機8機が配備され、米兵ら150〜200人程度が駐留する予定。海洋進出を強める中国を念頭に南西諸島の警戒監視態勢を強化する狙いだ。
国と自治体は国民保護法に基づき、外国の武力攻撃から住民を守るための措置を取る義務を負い、避難や訓練実施、備蓄などの国民保護計画を策定。鹿屋市の計画は2007年に作られ、117ページに及ぶ。
政府は弾道ミサイルを武力攻撃の一つに挙げ、北朝鮮からの発射を想定している。基地問題に詳しい沖縄国際大の前泊博盛教授(安全保障論)は、北朝鮮が在日米軍も攻撃対象にしていることから「米無人機配備で鹿屋のリスクは高くなる」と指摘。北朝鮮のミサイルが発射から10分程度で沖縄上空を通過した例があり、政府は「極めて短時間で飛来する」と予想する。
鹿屋市安全安心課によると、シナリオ想定の難しさや適切な避難方法が分からないことなどから、これまでも武力攻撃を想定した訓練や広報はできていない。米無人機の配備を控え、住民保護を巡る問い合わせがあるといい、担当者は「国には有事の動きを具体的に考えるための情報を示してほしい」と求める。
「鹿屋に米軍はいらない大隅住民の会」の松下德二代表(84)=同市旭原町=は保護計画について「あまり分かっていない」と話す。「国から言われて作っているのだろうけど、どこに逃げればいいのか。周知もされておらず、武力攻撃されたらうまくいくはずがない」と批判する。
国内の米軍専用施設の約7割が集中する沖縄県は、米軍基地内外の住民避難を課題に挙げる。国民保護計画で米軍との連絡体制の構築を定めているが、県防災危機管理課の担当者は「有事は想定外のことが起こる。うまく運用できるかは分からない」と明かす。
前泊教授は「国は武力衝突させないことに全力を尽くすべきだ。自治体も各国との交流を進めることで『人間の安全保障』を高められる」と指摘した。
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