旧海軍の零式三座水上偵察機 沖縄からの帰投中、燃料切れになり吹上浜沖に不時着 47年後引き揚げ展示 万世特攻平和祈念館

 2022/08/14 13:04
吹上浜沖で見つかった偵察機。海中をイメージして光を当てる=南さつま市加世田高橋
吹上浜沖で見つかった偵察機。海中をイメージして光を当てる=南さつま市加世田高橋
〈戦後77年 戦争遺跡を歩く〉万世特攻平和祈念館=鹿児島県南さつま市

 南薩地区には太平洋戦争時、さまざまな軍事施設が造られた。南の海を望む丘には戦没者を慰霊する場所もある。戦後77年、各地に残る戦争遺跡や遺物は当時の現実を今に伝えている。

 特攻基地があった旧陸軍万世飛行場跡に立つ南さつま市加世田高橋の万世特攻平和祈念館には、旧海軍零式三座水上偵察機の実物が展示されている。戦後、近くの吹上浜沖で見つかり、財団法人日本航空協会が重要航空遺産に認定。青や赤のライトが交互に機体を浮かび上がらせ、海没していた当時の一日の様子を再現している。

 同館によると、偵察飛行隊所属機で全長11.49メートル、翼が14.5メートル。1945年6月4日午後6時、3人が搭乗して福岡・博多湾を離水し、指宿市の航空・水上基地に着水した後、10時半に沖縄へ偵察に向かった。帰投中、敵機をかわすうち燃料切れになり吹上浜沖に不時着したが、住民に助けられて無事に帰隊した。

 機体は万之瀬川右岸から1キロ、沖合600メートル、水深5メートルの海中から92年、47年ぶりに引き揚げられた。同館の小屋敷茂さん(74)は「万世飛行場から出撃した特攻機は、現在も沖縄へ向かう海域で眠っている。機体は違うが、そのことに思いをはせてほしい」と話した。