戦時中はトーチカ、戦後はトビウオ漁の見張り台… 自衛隊機基地計画に揺れる馬毛島、今も残る戦争遺跡

 2022/08/15 08:25
島の最高地に立つトーチカ。柵やはしごは戦後に取り付けられた=7日、西之表市馬毛島(小型無人機で撮影)
島の最高地に立つトーチカ。柵やはしごは戦後に取り付けられた=7日、西之表市馬毛島(小型無人機で撮影)
 太平洋戦争の終戦から15日で77年がたつ。鹿児島県西之表市馬毛島には、旧日本海軍が使ったとされるコンクリート製のトーチカ(防御陣地)と爆弾投下訓練の標的の一部が残る。最高地の岳之腰(標高71メートル)に立つトーチカは戦後、トビウオ漁の見張り台にも使われた。かつての島民の痕跡を示す遺構は、同島で進む自衛隊基地整備計画の中で存続が危ぶまれている。

 市によると、トーチカは高さ3~4メートル、コンクリートの厚さが70センチほど。島南部の平地に残る標的は、開発業者の造成の影響でごく一部が露出するだけとなっている。古い航空写真の分析などから、元々は三重丸の形にコンクリートが埋め込まれ、直径約100メートルあったと推測されている。

 建設に当たり、地元で作業員を調達した記録の写しが同市立図書館で見つかった。それによると、1941(昭和16)年12月~42(同17)年2月にかけて計59人が手配された。最高賃金「廿一(にじゅういち)円五十銭」で、寝具や食料品は各自持参とある。鮫嶋安豊館長(80)は「戦跡の存在は知られていても、いつ、誰が造ったかは詳細が分からなかった。貴重な資料だ」と話す。

 基地整備計画で、防衛省は岳之腰を整地する方針。トーチカについては「記録保存を含め、市と調整して対応したい」としている。