〈続・アラフォー記者がコロナになって考えた〉長丁場の自宅療養 ネットスーパーが救いの神に スマホがなければ成り立たないけど…

 2022/08/21 21:20
食料支援に関する鹿児島市保健所からの質問項目。支援をお願いするのははばかられる気持ちになった
食料支援に関する鹿児島市保健所からの質問項目。支援をお願いするのははばかられる気持ちになった
<40度の熱、1人暮らし、もし意識を失ったら… アラフォー記者がコロナになって考えた>から続く

 鹿児島市で新聞記者をしている私(39)は新型コロナウイルスに初めて感染した。11日間の自宅療養が始まった。

 陽性が判明した7月31日の夕方、鹿児島市の保健所から届いたメッセージには「食料等の支援について」というチェック項目があった。

 (1)自宅に食料等の在庫がなく、1人暮らしや家族全員が陽性者など調達することができない(2)周囲に支援してくれる人がいない(3)ネットスーパーや宅配サービスなどで購入ができない(4)ホテルでの療養ができない-。

 この4項目すべてに該当する人が、食料支援の対象になるとのこと。しかも、届くまでに4、5日程度かかるとある。遠回しに「自宅療養で食料支援を頼むのは遠慮してほしい」と言われているみたいだ。

 一方で、県の担当者からホテルなどでの宿泊療養を希望するかどうか聞き取りが入ったのは、発症して数日たってから。保健所のメッセージには「原則、入院または宿泊療養施設に入所していただきます」とあったが、急な感染爆発で行政の対応が追いついていない状況がうかがえた。

■健康観察も入力形式

 保健所からは、毎日午後9時までに「健康観察」も専用フォームに入力するよう指示された。毎回、名前や体温の記入のほか、頭痛やのどの痛み、呼吸困難などの症状があるかどうか、計17項目にわたってチェックを重ねた。

 入力を忘れる人が多いのだろうか、市公式LINEを友だち追加すれば、毎日メッセージを届けてくれるとあった。早速追加してみたが、配信を受けるには電話でキーワードを聞く必要があった。そこはアナログなのね。

 徐々に熱は下がっていった。それでも発症日を含め4日間は37.5度以上あり、体のだるさや頭痛が続いた。感染した知人の中には体の節々が痛くなったり、嗅覚や味覚に障害が出たりした人もいたから、私はまだましな方だったのかもしれない。

 聞いた範囲ではワクチンを3回接種済みの人は症状が軽いように感じた。2回しか打っていなかったことを悔やみつつ、10月にも接種が始まるとされるオミクロン株対応の新ワクチンは早めに接種しようと誓う。

■ありがとうネットスーパー

 実家の家族も感染したため、しばらくは友人に買い出しを頼んでいた。その後、頼りになったのがネットスーパーだ。普段から飲料水などの重い荷物を注文する際に利用していた。生鮮、野菜、冷凍食品などを取り扱っていたからひもじい思いをせずにすんだ。

 荷物は玄関前に置いてもらう、いわゆる「置き配」スタイル。最近はネットスーパーの利用者が増えているため、即日配達が難しくなっているという。

 8月8日、発症から10日目。療養解除の連絡もメールで届いた。「本日と明日、37.5度以上の発熱がなければ療養解除となり、明後日から通常の生活に戻れます。電話での解除連絡はいたしません」

 11日間の療養生活が終わった。病院や保健所とのやり取りから食料調達まで、スマホがなければ成り立たなかった。1人暮らしの心細さを救ってくれたのも、スマホを介して周囲とつながれたから。スマホ様々だ。

 どこにも出かけられないストレスは、気になっていた映画やドラマを動画配信サービスでここぞとばかり観賞して解消した。体調を気遣ってくれる周囲の優しさが身にしみ、日常のありがたみを再確認して無事に復帰の日を迎えた。

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