障害者の暮らしを前進させたい。両肘から先がない私の目標。趣味はドライブ。18歳で免許を取ってから無事故

 2022/08/31 12:15
石神愛梨さん
石神愛梨さん
(「かお」上肢欠損への理解を深める活動を続ける石神愛梨さん)

 「なぜ手がないの、と聞いてもいいよ」。夏休みに鹿児島県姶良市の小学校で開いた講座で、足でパソコンを操作しながら、児童に優しく語りかけた。「聞いたらダメ、見たらダメでは、子どもは近づけない。そのまま大人になった時、障害者として区別して見るようになる」

 小学校や大学、町内会などさまざまな場に赴き、上肢欠損を知ってもらう活動を続ける。「小学生の娘が大人になった時、より理解ある世の中であってほしい」。障害者の暮らしを一歩でも前進させることが目標だ。

 生まれつき両肘から先がなく、箸や鉛筆を持つのにも当たり前に足を使った。ピアノも弾く。小規模だった小学校は特別扱いされず通えたが、中学校で不登校に。「皆と同じようにすることに憧れた時期もある」。特別支援学校を出て就職した。

 障害者への理解はここ10年で格段に進んだと感じるが、腕のない人は少数派だ。バリアフリーといっても、ほとんどが車いすが想定されている。「手のない人は、傘がさせない。市役所に行っても買い物に行っても、駐車場に屋根がなければ雨にぬれてしまうことに気付いてほしい」。現在建設中の姶良市役所新庁舎を気にかける。

 趣味はドライブ。左足でアクセルとブレーキを、右足でハンドルを操作する。18歳で運転免許を取って以来、事故を起こしたことはない。「オールドカーにも乗ってみたいけど、パワーステアリングでないから無理かな」と笑う28歳。姶良市平松に夫、娘と3人暮らし。