新型ロケットH3、22年度内に打ち上げへ メインエンジン不具合解消にめど 種子島

 2022/09/02 11:01
H3の飛行イメージ図(JAXA提供)
H3の飛行イメージ図(JAXA提供)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日、開発が遅れている新型の主力ロケット「H3」1号機の打ち上げを、2022年度内に実施予定と発表した。不具合が見つかったメインエンジン「LE9」の改良めどがついたと説明した。11月にも鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで実際にロケット本体に取り付けた燃焼試験(CFT)をする。

 1号機は当初、20年度の発射を予定していた。しかし、LE9で燃焼室内壁の亀裂や、燃料をエンジンに送るタービンの不具合が見つかり、同年9月と今年1月に打ち上げ延期を明らかにしていた。

 JAXAによると、タービンの設計変更や各部位の加工などの対策を取り、エンジンを改良。今年7~8月に実施した燃焼試験で、不具合の改善が確認できたという。

 具体的な打ち上げ時期は、11月上旬~中旬に同センター射場で行うCFTの終了後に決める。

 H3は使い捨て型の液体燃料ロケットで、運用中のH2Aの後継機となる。全長63メートル、直径5.2メートル。LE9の推進力はH2Aの1.4倍となる。作業の効率化や機体構造の簡素化により、打ち上げ費用は半分の約50億円を目指す。

 JAXAの岡田匡史プロジェクトマネジャーは「必死になって開発を進め、ようやくスタートラインに立てた。険しい道のりは続くが、確実に作業を進めていきたい」と抱負を述べた。