大島海峡西入り口の守りの要。28センチりゅう弾砲4門が据えられ、狙いを定めるために“目”となる観測所や弾薬庫などがあった。「もはや昔の面影はない」。アコウの大木が生い茂り、施設は土砂に埋もれている
2022/09/04 11:31

西古見砲台の第2砲側庫跡。アコウの大木が茂っている=瀬戸内町西古見
旧陸軍は1921(大正10)年、奄美大島南端の西古見地区で、大島海峡西入り口の守りの要となる西古見砲台の建設に着手した。敵艦の方向や距離を把握し、砲台に電話で連絡する「掩蓋(えんがい)式観測所」2カ所、砲側庫(弾薬庫)や兵舎、桟橋跡を確認できる。
砲台陣地は敵艦から特定されにくい場所にあった。曲射砲の一種で、放物線を描いて敵を攻撃する28センチりゅう弾砲4門を据えた。社会教育課の鼎(かなえ)丈太郎さんは「敵に攻められない分、相手の姿も見えない。標的をきちんと捕らえる“目”が必要だった」と観測所の重要性を指摘する。
主観測所とされる第2観測所は大島海峡や東シナ海を望む高台にある。円形の鉄筋コンクリート造り一部2階建て。上部や周辺をソテツなどで覆い、カムフラージュしていた。
1階内部(幅3メートル、奥行き5.7メートル、高さ2メートル)の観測用窓は南西側に面し、南東から北西方向まで180度見渡せる。窓上部の壁に目印として加計呂麻島や徳之島などを描いて色を塗り、名前や距離を記した。
砲台周辺の関連施設は土砂に埋もれ、アコウの大木が茂っている。小中学生の頃に遊んでいた近くの山元真琴さん(83)は「もはや昔の面影はない。きちんと再生、整備して後世に伝えるのが課題だ」と語った。
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