女子駅伝優勝祝いで稲盛和夫さんお気に入りの店へ。でも会長車は定員オーバー。「いいから乗りなさい」。そう言った稲盛さんが運転手に怒られたのは懐かしい思い出
2022/09/21 11:00

荒木久美さんにネックレスをかける稲盛和夫さん(荒木久美さん提供)
■元京セラ陸上部 荒木久美さん(56)
1988年のソウル五輪は、ルビーのネックレスをつけてマラソンを走った。所属していた京セラの壮行会で、稲盛会長が「これをつけて走りなさい」と壇上でかけてくれたものだ。
五輪出場が決まると、各地の工場からお守りが届いた。全てを持って走ることはできない。深紅のルビーが激励の結晶だと思い身につけた。レースは転倒してしまったが、立ち上がって完走することができたのはネックレスのおかげだ。
全国都道府県対抗女子駅伝は、京セラ本社がある京都で開催される。86年に優勝した際、稲盛会長が「連れて行きたいビーフカツサンドの店がある」と車を手配した。会長の車に全員は座れず、戸惑っていると「いいから乗りなさい」とすし詰めに。運転手から定員超過を注意され、タクシーに乗り換えて店に向かった。懐かしい思い出だ。
2年後の同じ大会。思うような結果が残せず、レース後の懇親会は欠席して一人宿に戻った。数時間後、稲盛会長から「応援してくれた人に、お礼を言わないと駄目だ」という伝言とビーフカツサンドが届く。競技や自分のことだけを考え、視野が狭くなっていることに気付いた。厳しくも温かさを感じる助言だった。
自宅居間には稲盛会長の箴言(しんげん)集をかけている。カレンダー形式で、10年ぐらい毎日めくっている。「見えてくるまで考え抜く」「素直な心を持つ」-。稲盛会長の言葉に触れると、今も人生の基本に立ち返ることができる。
訃報は運転中のラジオで知った。車を止め、スマートフォンを見ると元チームメートからメッセージが届いていた。引退して30年近くたっても感謝の気持ちは消えない。私たちは競技を通じて会社に貢献する存在。走り続ける場所を稲盛会長が用意してくれた。
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