「過去最強」台風、住民の出控えが人的被害を抑えた? 進路も想定より東へ、専門家「最悪コースなら大災害も」 鹿児島県内

 2022/09/22 11:48
資料・18日午後9時当時の進路予想図
資料・18日午後9時当時の進路予想図
 観測史上4番目に低い中心気圧935ヘクトパスカルの勢力で鹿児島県本土に18日上陸した台風14号は「過去最強」と恐れられた割に、県内の人的被害は小規模だった。専門家は最悪のコースが避けられたことや早めの避難・準備の効果を理由に挙げる一方、コースが少し異なれば大災害の可能性もあったと指摘する。

 県が21日までに確認したけが人は14人。33人が犠牲になった1993年9月の台風13号などと比べ、被害は抑えられた。

 再三の避難呼びかけは、ネットなどで「騒ぎすぎ」との指摘もあったが、鹿児島地方気象台の篠崎覚気象防災情報調整官は「雨や風が弱かったとは考えていない」と語る。錦江町田代の18日の24時間雨量は371.5ミリで9月の平年1カ月を超えた。霧島市牧之原は観測史上最高の最大瞬間風速39.6メートルを記録した。

 14号は想定より東寄りに進み、指宿市付近を通過後、鹿児島市付近に上陸した。篠崎調整官は「もう少し西寄りを通ったら、宮崎県内で降ったような大雨だったかもしれない」と語る。

 一方、鹿児島大学の岩船昌起教授(災害地理学)は県内で24時間雨量が最多だった錦江町田代でも1時間50ミリに満たなかったことを挙げ、「勢力の割には、短時間で一気に降るような状況ではなかった」とみる。

 鹿児島市などで吹き返しの風が弱かったことも幸いした。気象台によると、台風の中心が過ぎて西風となったため、市街地西側の山に遮られたとみられる。

 「早めの対策、避難を呼びかけてきた。(県民の)協力をいただけた」。県全域が暴風域を抜けた19日午後、県庁で塩田康一知事は振り返った。

 ホームセンターきたやま東開店(鹿児島市)は14号が発生した14日から台風対策の特設コーナーを設置。暴風域に入る前日の17日は開店前から土のう袋などを買い求める一般客で行列ができた。暴風域に入ると“最後のとりで”のコンビニやタクシーが休業するなど経済活動は幅広く止まった。南国タクシーの担当者は「この5、6年で運行停止措置を取ったことはない。社員や乗客の安全を第一に考えた」。

 最接近時に県民が自宅や避難先にこもったことも、人的被害を抑えた要因になったといえそうだ。