「県人会には上も下もねぇでなぁ」 関西一円の鹿児島県出身者から慕われた稲盛和夫さん。古里の人が一堂に集う場の発足を心から喜んだ
2022/09/26 11:00

京都県人会に参加し、稲盛和夫さん(右から2人目)の隣で杯を交わす鶴丸明人さん(右)=1999年7月(鶴丸さん提供)
■県議、元国分市長 鶴丸 明人さん(76)
稲盛さんは郷土愛に満ちていた。関西鹿児島県人会総連合会が発足した2001年10月、会場をずっと回って大勢の来場者を迎え、「同じ古里の人が一堂に集う場ができた」と心からうれしそうだった。私は県大阪事務所長で、稲盛さんを中心に結束する連合会の立ち上げに関わった。
初対面は大阪に赴任して間もない1999年7月。京都県人会の集まりだった。威張らず、親切な人柄は以前読んだ著作に重なって映った。日記に「あこがれの稲盛氏と会った。隣で飲む」と喜びを記したほど。これが成功する人だとつくづく思った。
稲盛さんは既に関西一円の出身者から慕われる存在。仕事には厳しいが「県人会には上も下もねぇでなぁ」と話す姿が印象的だった。当時の宝塚歌劇団トップスター、愛華みれさん(南大隅町出身)の後援会顧問などをお願いする中で、設立準備を進めていた連合会の会長を引き受けてくれた。
発足後も県人会活動で親しくさせてもらった。国分市長選に出たのは、真っ先に相談した稲盛さんの「天命だと思って決断しなさい」が決め手だった。2002年3月、大阪からの異動内示があった一方、勇退表明した市長から人づてに後継を打診されていた。出会いがなければ政治の道に進んでいたか分からない。
政治にしろ経済にしろ競争がないと成り立たないという考えの持ち主だった。金権政治を嫌い、「草の根が選挙の原点だ」と話していた。市長続投を期して落選した時はガツンと怒られた。「負けには原因がある。おごりだよ」と。同時に県議を目指すよう勧められ、自らの政治姿勢を見つめ直して今がある。
稲盛さんの一生こそ苦労の連続だったろう。「魂を磨け。一生懸命に努力する生き方を大事にしろ」と精進を促す教えを改めてかみしめている。
(連載「故郷への置き土産 私の稲盛和夫伝」より)
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