南国交通バス減便 来年3月まで延長 運転手不足が慢性化…コロナ禍で応募減、経営悪化も追い打ち 公共交通維持へ運賃改定、新事業進出も視野

 2022/09/23 11:02
減便期間を延長する南国交通の路線バス=22日、鹿児島市小野町
減便期間を延長する南国交通の路線バス=22日、鹿児島市小野町
 南国交通(鹿児島市)の路線バスで、運転手不足を要因とする減便が慢性化している。9月末までの予定が、来年3月末までに延長された。新型コロナウイルス禍による経営悪化も追い打ちとなり、同社はダイヤ改正や運賃改定を視野に入れる。一方で公共交通の維持のために新たな事業にも乗り出す。

 減便しているのは、鹿児島市内を中心に1日83便。市交通局から移譲された23便を含み、全便数の約1割を占める。

 同社では昨年10月以降、運転手24人が退職した一方で採用は7人にとどまった。それまでは退職と入社がほぼ均衡していたが、コロナ禍で応募が大幅に減少しているという。24年度には現行8時間以上の勤務間インターバルを伸ばすことが義務づけられ、運転手のやりくりはより厳しくなると見込まれる。

 山田誠取締役は「県民の足を支えるやりがいのある仕事」と前置きしつつも、「昔と比べて仕事の選択肢は多く、車好きも減った。他業種に流れているのでは」と推測する。10月の通常ダイヤ復帰を目指したが、「在籍する運転手の休みを優先し、人員から逆算して効率的なダイヤを組まざるを得ない状況」と減便延長を決めた。

 コロナ禍の乗客減少もあり、経営は厳しい。路線バス事業の売り上げは19年度比で6割ほどに落ち込む。借り入れや資産売却などを進めてきたが、コロナ禍以降の累積赤字は20億円近くに上る見通し。経営悪化は、社員の待遇改善や採用にも影響を与えかねない。

 萩元千博社長は「損失があまりに巨額で企業努力ではどうにもならない」と話す。「生活様式が変わり、輸送人員や売り上げが完全に戻ることはない」とみて、減便のダイヤ改正や、消費増税分を除けば1995年以降据え置いている運賃の改定も視野に入れる。

 一方、将来へ向けた新たな動きも始めている。2種免許の要件緩和で取得が可能になった19歳男性が現在自動車学校に通っており、11月の入社を目指している。また、バス事業維持のため、吉野公園でのグランピング事業や、日置や桜島での農業など新たな事業に進出する。萩元社長は「公共交通は県の基幹産業。総力を挙げて死守する」と力を込める。