1939年築国登録文化財の解体半年先送り 保存訴える嘆願2000通受け所有財団、市民団体へ「売却先探して」 鹿児島市の県民教育文化研究所

 2022/09/23 14:10
解体時期が来年4月末まで延長された鹿児島県民教育文化研究所=2022年7月、鹿児島市春日町
解体時期が来年4月末まで延長された鹿児島県民教育文化研究所=2022年7月、鹿児島市春日町
 国登録有形文化財で11月にも解体される予定だった鹿児島県民教育文化研究所の建物(鹿児島市春日町)について、所有する県教育会館維持財団は解体時期を来年4月末まで半年間延長する。市民団体「鹿児島の古い建物や街並みを活(い)かす会」から保存を訴える約2000通の嘆願書が寄せられたことなどを受け22日、方針を示した。

 財団は建物の解体跡地約3100平方メートルに新たに建物を造り、県教育会館(同市山下町)の機能を移す方針だった。

 市民団体への回答書は、財団の原園正敏代表理事と研究所の今村悟所長名。「保存の道を模索しようとしていただいていることに感謝を申し上げる」とした上で、半年の猶予期間中に、会館の移転先として研究所の敷地面積と同程度の広さの土地と、研究所と会館の売却先を探してもらうことを市民団体へ依頼した。期間中に見つからなかった場合は解体もやむなしとの考えも示した。

 約2000通の追加の嘆願書を同日提出した市民団体代表、砂田光紀さん(58)は「大きく前進した。たくさんの方々の力添えのおかげ」と感謝し「知恵を出しあい、維持へ向けた方法を模索したい」と話した。

 また、同日の県議会一般質問で塩田康一知事は、研究所の解体延期を認識しているとした上で、「県が自ら(同研究所を)取得し活用することは難しい。今後、財団や市民団体から保存・活用に向けた協力の依頼があれば、内容を精査した上で検討する」と述べた。

 建物は1939(昭和14)年に繊維雑貨卸の藤武喜助氏の自宅として建てられ、玄関の寄せ木細工や格式の高い書院造りの表座敷などが特徴。財団は今年7月、維持管理費が財政を圧迫していることや、耐震基準を満たしていないことから解体を決めていた。