稲盛和夫さんにダメ元で書いた講演依頼の手紙。秘書からOKの返事が来た。空港に出迎えると「このような機会をありがとう」とおっしゃる。感激した
2022/09/27 11:00

稲盛和夫さん
■奄美市長 安田壮平さん(43)
2007年に入り、稲盛さんに直筆の手紙を書いた。ちょうど西郷隆盛の生誕180周年・没後130周年に当たり、西郷ゆかりの奄美大島で西郷の話を聞かせてもらいたかった。
当時は松下政経塾にいて、龍郷町有志らの「西郷塾」にも入っていた。秘書から1、2カ月後に返事が届き、町に来てくれるとのこと。「駄目で元々」と思っていたので、とてもうれしかった。
9月25日の講演会当日、実行委員会、町や教育委員会のメンバーと奄美空港で出迎えた。表情や立ち姿にオーラがあり、全てを包み込むような雰囲気。「あなたが安田君ですか。今回このような機会を頂き、ありがとう」と言われ、感激した。
昼食に立ち寄った店の主人が「一筆お願いします」といきなり頼んだ。それでも断らずに「至誠」としたためた。常ににこやかで、立ち居振る舞いが穏やか。相手に気を使わせるところがなかった。
児童虐待や育児放棄といった事情で家族と離れて暮らす子どもを稲盛さんは支援しており、奄美市のNPO法人「奄美青少年支援センターゆずり葉の郷(さと)」に足を運んだ。スタッフらの話を熱心に耳を傾け、「頑張ってください」と声をかけていた。
「人生について思うこと」と題した講演会には1200人が集まった。会場のりゅうゆう館に入りきらず、体育館にモニターを設けた。「心の管理が大事」「西郷のように無私で人に尽くす」。舞台袖で聞くことができ、印象に残っている。町民に敬意と感謝を込め、「西郷南洲という偉大な存在を育んだ末裔(まつえい)の皆さま」と呼びかけたのが忘れられない。
講演後、ホテルのプールサイドでバーベキューの懇親会をした。くだけすぎかと心配したが、嫌がらずに付き合ってくれた。お礼を伝えたら「もっと頑張りなさい」と励まされた。稲盛さんの存在が生きる指針。「謙虚に人格を磨く」との哲学を座右の銘にしている。
(連載「故郷への置き土産 私の稲盛和夫伝」より)
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