馬毛島市有地 8月の「売らない」から一転、9月は売却提案…西之表市長の方針転換、市民は「防衛省とすり合わせ?」
2022/09/27 08:43

カメラの前で市有地売却と市道廃止を提案した経緯を説明する八板俊輔市長=9日、同市役所
「市民の理解も不十分。防衛省がねだるからといって簡単に手放すのか」。市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」などは、学校跡地売却などの手続きが「不当」と主張。市に差し止めを求め、21、26日と相次いで住民監査請求した。その数は362人分に上る。
■におわせ
関連議案の採決は30日。可決されれば馬毛島の市有財産が失われ、計画阻止の牙城は事実上崩れる。反対派には「裏切り行為」と八板市長への戸惑いと怒りが渦巻く。跡地の取り扱いを問われた八板市長は8月、「(防衛省と)考えが異なるので、売ることは考えていない」と多くの市民の前で説明していたからだ。
ところがその2週間後の9月2日の所信表明。基地整備計画の賛否判断を先送りする一方、「市に求められる行政手続きがあれば適切に対応する」と含みを持たせる言い方にトーンダウンする。賛成派市議の一人は「既に防衛省と話がついており、方針転換をにおわせたのか」と見て取った。
■用意周到
民間会社から馬毛島の大半の土地を得た防衛省は以前から跡地購入と市道廃止を切望。5日の同省との9回目協議後、八板市長は改めて要望を受けたと明かした上で「いろいろ検討して対応したい」と言葉を濁した。かたや同省の原田道明参事官は「具体的に進めていく方向で話ができた」と手応えを語り、協議直後に購入を正式に申請した。呼応するように市は関係会議を連日開き、八板市長は9日に売却など関連議案を市議会に提出した。
4日後の13日、浜田防衛相は閣議後会見で米軍再編交付金の支給手続きに入ったと表明した。「市が交付金を盾にされて屈した形だ。用意周到すぎる」。反対派市議はいぶかり、八板市長は「状況的に防衛省の考え方は(議案と交付金が)セットと言えるが、市としては条件とは受け止めていない」と火消しを図る。
■集中砲火
急展開に市街地近くの町内会は八板市長に説明を求めた。「計画を容認しているのでは」「外堀が埋まる中で計画反対と言えるのか」。追及の声は屋外まで響いた。
反対派が多いこの町内会は、昨年の市長選で再選を後押しした八板市長のお膝元。集中砲火を浴びた八板市長は最後に「私も反対の姿勢を崩していない」と声を振り絞ったという。
なぜ短期間で市有地売却へと方針転換したのか、今後の基地整備計画との向き合い方は-。「自分たちも理解できていないし、本人も分かっていないのでは」と出席者の一人。読めない真意に八板市長の足元は揺らぎつつある。
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