5月に閉店後、放置していた店舗前の花壇 整備してくれたのは誰? 雑草払われ、軽石もまかれ…飲食店40年経営した夫婦感謝「優しさもらった」 南さつま

 2022/09/28 21:00
「ありがとうと伝えたい」。花檀の前に立つ田中みよさん=南さつま市加世田小湊
「ありがとうと伝えたい」。花檀の前に立つ田中みよさん=南さつま市加世田小湊
 鹿児島県南さつま市万世地区で飲食店「萬来ラーメン」を開いていた田中高秀さん(73)みよさん(73)夫婦が、高秀さんの病気のため、40年続けた店ののれんを下ろした。閉店後、放置していた店舗前の花檀が知らぬ間に整備されていた。「お客さんが手入れしてくれたのかも」と感謝している。

 1982年当時、地元に飲食店が少なく、「地域の役に立とう」と開店した。「萬来」には万世に人が来るようにとの願いを込めた。ちゃんぽんやチャーハンもあり、大人数を賄えるよう大鍋を振るう、みよさんの姿は「元気をもらえる」と大人気。鹿児島市や南薩からも人が集まり、平日は平均100人、土・日曜や祝日は150人でにぎわった。

 会社勤めの傍ら、仕入れやギョーザの皮包みなど裏方で店を支えた高秀さんが闘病生活に入ったのは4月末。「夫に『おまえならできる』と背中を押されて始めた店。2人でないとやっていけない」。5月の連休を最後に店を閉めた。

 病状を気遣い後始末もままならない今夏、みよさんが店に立ち寄ると、花檀の雑草が払われ、再び花を植えられるように軽石がまかれていた。長さ約5メートル、幅1メートルほど。開店時は従業員らと季節の花を育て一輪挿しにして店のテーブルに飾っていた。

 「誰かは分からないが、優しさをもらった。長年店を愛してくださった方々の心遣いと受け止め、新たに夫婦で頑張りたい」と話した。