種子島3市町に米軍再編交付金 馬毛島基地反対派「地元理解どこに」「市長裏切った」 賛成派は冷静「既定路線」

 2022/09/29 14:03
市有地売却議案などの取り下げを求め抗議活動する市民=28日、西之表市の同市役所前
市有地売却議案などの取り下げを求め抗議活動する市民=28日、西之表市の同市役所前
 「国は地元の理解をどう考えるのか」。鹿児島県西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画を巡り、米軍再編交付金の対象に種子島1市2町の指定が官報告示された28日、西之表市では計画反対派から反発が相次いだ。これまでの市の対応への批判も根強く、市有地売却や市道廃止の方針が「引き金」になったとの指摘が上がる。

 同日の市議会馬毛島対策特別委員会を前に、各市議に官報の内容が伝わった。反対派の宇野裕未議員は「市民はいまだ賛否で割れ、市長も態度を明確にしていない。地元の理解が得られたとは言えない中で指定するのは納得できない」と憤慨した。

 長野広美議員は「防衛省は『自衛隊施設』を繰り返してきたが、米軍に関連する施設ということが明確に強調された形だ」と指摘。「市は防衛省との協議で『交付金の話は出ていない』としているが、今までの流れを見ると果たして本当なのか」と、市への不信感をにじませた。

 市民グループ「馬毛島情報局」の三宅公人代表は、防衛省への馬毛島小中学校跡地など市有地売却や、市道廃止の議案との関連を疑う。「市長が裏切って提案した結果。怒りが燃えたぎるとしか言いようがない」と切り捨てた。

 一方、賛成派市議は「既定路線」と冷静に受け止める。交付金は初年度、総額10億円程度と見込まれ、焦点は各自治体への交付額に移っている。「行政区域である西之表に7〜8割を」という意見が多い。

 各市議は農水産業支援やインフラ整備、子育て・医療福祉の充実などを求める考え。ただ「市長が賛否を示していないことが交付額にどう影響するか」(田添辰郎議員)といった不安の声も聞かれる。

■賛否未表明の西之表市長「こういう順番でいいのか」

 西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画で、八板俊輔市長は28日、賛否を明言していない中で米軍再編交付金の対象に指定されたことを受け、「こういう順番でいいのかという思いはある」と複雑な胸中をのぞかせた。

 同交付金を巡っては、馬毛島の市有地売却や市道廃止を市議会に提案後、国の支給方針が明らかになった経緯がある。八板市長は28日の指定を「防衛省の手続きの一環」としつつ、「法律的には(議案提出を)勘案したと思う」とも述べた。現時点で具体的な金額の提示はないとした上で「市から働き掛けることは考えていない」と話した。

 一方、計画賛成を表明している中種子町の田渕川寿広町長は「基地整備による住民への影響があるとすれば、防衛省が責任を持って対応してくれる裏付けになる」と歓迎。同じく南種子町の小園裕康町長は「1市2町が同時に指定されてよかった。住民生活の向上に役立てることが一番だ」と期待した。