「前向き」に「よい心」で生きると教わった稲盛さんの本。義父、夫が相次ぎ旅立ち水道工事会社の社長になった私を支えた。本にサインしてもらった言葉は「敬天愛人」
2022/09/30 11:09

稲盛和夫さんの著書は繰り返し読んだという赤尾かおりさん=鹿児島市
■親和興業社長 赤尾かおりさん(56)
知人に勧められて稲盛さんの著書を読み始め、特に感銘を受けたのが「生き方」(サンマーク出版)。線を引いて付せんを張ってボロボロになるまで読んだ。共感したのは「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」というかけ算。「考え方にはマイナスもある」と「前向き」に「よい心」で生きることを最も大事にするところがふに落ちた。
どうしても会いたくなって2008年、稲盛さんが発起人の1人になって都内で開催された致知出版社の30周年記念パーティーに参加した。名刺交換の時間に、差し出した名刺を見るなり笑顔になって「あんたは鹿児島から1人で来たのね」と鹿児島弁で語りかけてくれた。付せんだらけの本を見せて「いつも持ち歩いています」と言ったら本を手に取って、制止するスタッフの手を払って「敬天愛人」とサインしてくれた。
私が鹿児島市の水道工事会社の社長になったのは04年。社長だった義父が03年に亡くなり、跡を継いだ夫も翌年倒れて急死した。会社を託されたが、もともと看護師で経営は素人。夫を亡くした悲しみも癒えずに苦しんでいた。それがパーティーを機に「自分を変えられるのは自分だけだ」と踏ん切りが付いた。「日本一親切な会社」を目指し、水道工事に加えてリフォーム部門「夢姫」を立ち上げて前に動き出せた。
稲盛さんはオーラがきらきら輝いて見えた。「生き方」にある通り、前向きに魂を磨いてきたからだと思う。パーティーで「集まった方々は魂を同じくするソウルメイト」と呼び掛けられたのも心に響いた。
不思議なことに、訃報を聞いても悲しい気持ちは湧いてきていない。それはきっと前向きに生きた稲盛さんの魂が「ソウルメイト」である私の中に生き続けているからだと思う。
(連載「故郷への置き土産 私の稲盛和夫伝」より)
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