馬毛島小中学校跡地 売却可決 基地反対派「市長、原点に戻って」思いの丈ぶつけたが…訴え届かず 傍聴の市民も怒り 西之表市議会最終本会議

 2022/10/01 11:44
議案審議の行方を傍聴席から見守る市民ら=30日午後6時ごろ、西之表市役所
議案審議の行方を傍聴席から見守る市民ら=30日午後6時ごろ、西之表市役所
 「市長、原点に戻って」。30日、鹿児島県の西之表市議会最終本会議。議員らの必死の訴えは届かなかった。同市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画に伴う馬毛島小中学校跡地の売却議案は、八板俊輔市長が取り下げに応じることもなく、1票差で可決された。傍聴席で見届けた計画反対派の市民の目には、怒りがにじみ出ていた。

 市有地である学校跡地は、反対派にとって計画に歯止めをかける「最後のとりで」。計画に反対する5議員が反対討論に立ち、1時間以上にわたって思いの丈をぶつけた。「市長選で反対を掲げて当選した原点に戻って」「先人から受け継いだ土地と歴史は後世に伝えなければ」

 本会議採決前には委員会の差し戻し審査があった。「なぜそんなに急ぐのか」「市民にも議会にも十分な説明がない」と、八板市長を追及する声が相次いだ。「基地の賛否と切り離し、行政手続きで処理した」との答弁が繰り返され、反対派の疑問点は解消されないまま。採決前の討論で、失望感をぶつける形になった。

 「市長は計画反対を公約に掲げた思いを貫いてほしかった。議会で多数派を占められない自分たちにも責任はある」と宇野裕未議員。市役所1階で議会中継を見ていた同市西之表の上妻忠昭さん(83)は「一度売ってしまったら後戻りはできない。反対の声を上げるのはますます困難になっていく」とため息をついた。

 午後8時すぎに議長が閉会を宣言すると、傍聴席からは「島の宝を売るのか」「裏切り者」といった怒号も飛んだ。八板市長はその後の会見で「公約は常に頭にあり、国の動きに合わせて最善の対応を考えている。基本的に私の考えは変わっていない」と言葉を振り絞った。