ポルトガルで歌った島唄。瞬間、会場は奄美一色に。両親のIターンに伴い3歳で移住。「奄美のソウルミュージックをもっと知ってほしい」。慶応大で学ぶ唄者の願い

 2022/10/05 12:11
慶応大で島唄を研究する成瀬茉倫さん
慶応大で島唄を研究する成瀬茉倫さん
〈慶応大で島唄を研究する唄者・成瀬茉倫(なるせ・まりん)さん〉

 奄美伝統の島唄をポルトガルであった国際伝統音楽学会世界会議で高らかに歌い上げた。国籍の違う参加者に手本を示すと、はやしを響かせて踊ってくれた。「奄美みたいな空間になり、感動的な瞬間だった」

 首都圏の奄美コミュニティーにおける島唄の存在を卒論のテーマにする慶応大学3年生。現地では学者らが研究成果を発表し、たたえ合う姿に刺激を受けた。初めて路上でライブをするなど忘れられない夏になった。

 兵庫県で生まれ、両親のIターンに伴い3歳から龍郷町芦徳で過ごした。小学生の頃に島唄と出合う。中学から高校卒業まで近くのホテルで毎週末、観光客らに披露した。「ただ歌うだけでなく、魅力をどう語り、伝えるかを考えた」と振り返る。

 小中学校時代は海外アーティストにはまり、英語力を磨いた。高校3年の時、日本代表としてシンガポールでの国際スピーチコンテストに出場。島唄といった伝統文化と住民の絆を生かした奄美の活性化策を訴えた。多くの唄者が憧れる奄美民謡大賞では奨励賞に輝いている。

 日本民謡協会の民謡アンバサダー。都内の居酒屋でライブを重ね、ジャズピアニストやオーケストラと共演する。「島唄は私のアイデンティティー。奄美のソウルミュージックを多くの人に知ってほしい」と願う。

 芸術家らに国際文化交流の機会を提供する団体の支援を受け、来年7月から半年間のニューヨーク留学が決まった。地元のみんなが「すごい」と喜んでくれたという。21歳。