鹿児島「和牛日本一」チーム一丸で有終 代々受け継がれてきた技術、地域の支え…30年ぶり悲願「牛との絆結べた」 全国和牛能力共進会

 2022/10/11 11:02
人差し指を立て、「和牛日本一」を喜ぶ鹿児島関係者=10日午後、霧島市牧園
人差し指を立て、「和牛日本一」を喜ぶ鹿児島関係者=10日午後、霧島市牧園
 鹿児島を舞台に5日間の熱戦が続いた全国和牛能力共進会(全共)は10日、団体優勝した前回宮城大会でも届かなかった内閣総理大臣賞を獲得し、県勢にとって30年ぶりの悲願をかなえて有終の美を飾った。霧島市のメイン会場には歓喜の輪が広がった。

 「種牛の部、内閣総理大臣賞は第4区、出品番号136番から138番」

 各出品区を制した牛たちがずらりと並んだ審査場に、受賞区決定のアナウンスが響く。4区首席の県代表牛3頭を引いていた出品者らは帽子を取って高く掲げ、鹿児島のチームカラーの青に染まった応援席は大きな拍手に包まれた。

 自ら愛牛「さき」の手綱を取った落合新太郎さん(26)=霧島市=は「地域の力はもちろん、祖父、父と受け継がれてきた技術があって取れた結果」。拵正人さん(62)=湧水町=も「周囲に助けてもらい、ようやくここまで来られた。仕事を辞めておやじの後を継いで本当に良かった」と喜びをかみしめた。

 4区は地域の特色を備えた雌牛を3頭そろえることが出品条件。県代表牛はいずれも姶良地区から選ばれた。農家とともに牛を磨き上げてきたJAあいら畜産部の拵井園淳次長(48)は「若手の技術員らが一体となって頑張った。審査初日はうまくいかなかったが、最後は牛と絆を結べて最高のパフォーマンスができた。受賞は生涯の宝」と胸を張った。

 閉会式後、関係者は牛舎前に集まり、改めて頂点に立った喜びに浸った。若い出品者にも積極的に声をかけ、ムードメーカー的存在だった3区出品者の森義之さん(40)=鹿屋市=は「(初出場だった)宮城大会以上の雰囲気づくりを目指してきた。日本一のチームに加われてうれしく思う」と話した。

 最後は出品対策を担ってきた全共県推進協議会の坂元信一推進委員長(63)らが胴上げされ、秋空に舞った。9出品区のうち六つを制し、内閣総理大臣賞にも輝いた「チーム鹿児島」のメンバーたち。どの顔にも爽やかな笑顔が広がっていた。