「絶対に抜ける」 2位でバトンを受け取ったアンカーは冷静に仕掛け、倒れ込むようにゴール。電光掲示板の表示は…「まさか」【栃木国体・陸上男女混合1600メートル】鹿児島が初代王者

 2022/10/11 13:45
男女混合1600メートルリレーで優勝した鹿児島のメンバー。左から佐藤恵斗(環太平洋大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)下野みのり(鹿情報高)太田芳栄(鹿南高)=カンセキスタジアムとちぎ
男女混合1600メートルリレーで優勝した鹿児島のメンバー。左から佐藤恵斗(環太平洋大)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)下野みのり(鹿情報高)太田芳栄(鹿南高)=カンセキスタジアムとちぎ
 第77回国民体育大会(栃木国体)は10日、栃木県各地であった。鹿児島県勢は、陸上の男女混合1600メートルリレー(太田、下野、鶴田、佐藤)が頂点に立った。この日で競技は終了し、天皇杯は14位(前回15位)、皇后杯は12位(同12位)だった。

■陸上49年ぶり入賞

 最高の“バトン”を来年につないだ。鹿児島は、新種目の男女混合1600メートルリレー(マイル)で初代王者に輝いた。3走の鶴田(南九州ファミリーマート)は「正直、優勝できるとは思っていなかった。鹿児島国体に向けて勢いがつく」と笑顔を見せた。

 4走の佐藤(環太平洋大)は鶴田から2位でバトンを受け取った。「射程圏内。絶対に抜ける」。成年男子300メートルで決勝へ進めなかった反省を生かし、仕掛けるタイミングを遅らせた。残り100メートルで最後の力を振り絞る。スタンドからこの日一番の歓声と拍手が上がる中、倒れ込むようにゴールした。

 「1位鹿児島」。電光掲示板に表示されるとメンバーは「まさか」という表情を一瞬浮かべ、アンカーに駆け寄る。佐藤は「みんながいい位置でつないだ」と振り返った。

 まず1走太田(鹿南高)の激走が勢いを生む。全国高校総体400メートル王者を差し置いて先頭でバトンパス。続く下野(鹿情報高)は「全国大会のリレーは初めてで緊張した」というが、バックストレートでは抜群の加速を見せた。

 単独2位に抜け出した鶴田は「支えてくれた先生たちのおかげ」と感謝する。女子の400メートルリレー出場を見送った鹿児島。混合入賞に懸けた首脳陣の戦略も見事にはまった。

 陸上競技の天皇杯順位は7位に浮上、49年ぶり3度目の入賞も果たした。新開浩一監督(鹿南高教)は「最高の形になった」と喜んだ。