鹿児島・獅子島のクビナガリュウ、翼竜が生きていたのは「1億年前」。年代判定の決め手はアンモナイト。独特の特徴が「ものさし」に
2022/10/24 11:34

獅子島で見つけたグレイソニテスを抱える筆者。突起が特徴的で、約1億年前に世界中の海で繁栄した
獅子島で見つかったクビナガリュウや翼竜(よくりゅう)の化石。彼らが生きた時代を約1億年前と判定する決め手になったのが、アンモナイトの化石でした。
恐竜時代とも言える中生代の海中には、現在のタコやイカの仲間である頭足類が大繁栄していました。アンモナイトも、この頭足類の仲間です。
長年、アンモナイトの殻(から)の化石は見つかっても、軟体部は発見されていませんでした。しかしCTやMRI、大型放射光施設での最新の調査方法で、少数ながら軟体部の化石も確認できるようになってきました。殻を持つ持たないといった違いはあるものの、現在のイカに近い仲間とされるようになっています。
アンモナイトは、比較的短期間で殻の装飾や内部構造を変化させました。例えば殻の縫合線(内部の小部屋を仕切る壁と殻が接する部分にできる模様)は、時代が新しくなるにつれ複雑になっていきます。これらの特徴から、アンモナイトは化石が出た地層の地質年代を決める良い指標になります。このような化石を「示準化石」と言います。まるで「ものさし」ですね。
獅子島・幣串の海岸からは、グレイソニテスと呼ばれるたくさんの鋭い突起を持つアンモナイトが見つかります。このアンモナイトは、後期白亜紀の初め頃(約1億年前)の示準化石とされています。
獅子島と同時代のグレイソニテスの化石は、アメリカ・テキサス州の石灰岩層を皮切りに、イスラエル、イラン、ブラジル、スペインなど、世界中の白亜紀層から見つかっています。日本でも北海道・朱鞠内地区(しゅまりないちく)で発見報告があります。
サツマウツノミヤリュウもアンモナイトを捕食していたかもしれません。獅子島のアンモナイト類による時代判定については2020年、地学研究誌上で論文として発表しました。
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2021年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「じつは恐竜王国!鹿児島県より」)
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