新幹線停車1分の出水駅で生鮮品積み込み始まる JR九州が貨客混載事業拡大「生産者どんどん活用を」

 2022/10/26 08:20
1分間の停車時間に手早く荷物を積み込むJR九州の係員=25日、出水市のJR出水駅
1分間の停車時間に手早く荷物を積み込むJR九州の係員=25日、出水市のJR出水駅
 JR九州は25日、九州新幹線で貨物も運ぶ貨客混載事業で、出水駅(鹿児島県出水市)での積み込みを始めた。これまで始発の鹿児島中央駅などで載せており、停車時間の短い途中駅は初めて。主要駅や空港から離れた出水や阿久根、長島などの特産品を即日で都市圏に輸送し、販路拡大につなげる。

 初便のつばめ318号は午後1時5分に出水駅に到着。1分の停車時間に、JRの係員が出水市産のミニトマトやレモン、東町漁協のブリ「鰤王」など生鮮食品や特産品9箱を積み込んだ。午後2時半に博多駅に到着。生鮮品などは同駅のマルシェで即売された。

 出水駅からの積み込みは当面は事前予約制で、法人を対象に受け付ける。セイノーホールディングスと連携し、トラックが生産地を回って荷物を回収して駅まで運ぶ。新幹線の停車時間が短いため、1便当たりの積み込み量を抑え、利用便数を多くする。荷物量が増えた段階で、停車時間の見直しなど次の段階を検討するという。

 物流を担当するJR九州営業課の新山夏江課長代理は「地方には高付加価値で即日輸送のメリットを生かせる商材が多い。生鮮品を都市圏に運びたい生産者はどんどん活用してほしい」と呼び掛ける。取扱業者とともにホームで見送った出水市の椎木伸一市長は「新鮮さが勝負の産品をスピーディーに届けてもらい、生産者にとっても喜ばしい」と歓迎した。

 JR九州は昨年5月、鹿児島中央-博多で貨客混載事業を始めた。同年11月にはJR西日本と連携し、輸送範囲を関西圏に広げた。今年1月からは熊本-博多でも開始している。