スムーズな搬送、治療につながるか…救急時にマイナ保険証活用実験始まる 取得率1位の都城市

 2022/10/30 15:00
マイナンバーカード保険証を活用した救急業務の手順を確認する救急隊員=19日、都城市菖蒲原町の市南消防署
マイナンバーカード保険証を活用した救急業務の手順を確認する救急隊員=19日、都城市菖蒲原町の市南消防署
 宮崎県の都城市消防局は、救急搬送時にマイナンバーカードに健康保険証をひも付けた「マイナ保険証」を活用し、搬送者の受診歴や薬の処方歴などを取得する実証実験を始めた。情報を一括して迅速に把握し適切な搬送先選定や効果的な治療につなげる狙い。機器を貸し出す消防庁の事業を利用して約2カ月間実施し、検証する。

 マイナ保険証取得者が対象。20日開始した実験では医療機関がオンライン上で共有するシステムを、救急救命士らが閲覧できる。搬送者の同意を得た上でカードリーダーでデータを読み、タブレットで必要な情報を確認する。意識不明などで意思疎通できない搬送者らは通常の救急業務で対応する。

 市消防局によると、従来の救急搬送でも氏名や生年月日、持病などを口頭で聴取してきたが、うまく説明できる搬送者は少なく、家族らも動揺して対応できないケースもあった。カードの活用により、搬送者らの負担軽減や救急業務の効率化も期待できるという。

 都城市のマイナカード取得率は84.7%(9月末)と市区別全国1位。実験は公募に応じた全国15消防機関のうち、取得率などを加味し6機関が選ばれた。都城市南消防署の花原友志朗隊員(31)は「取得率1位の強みを生かし、円滑な業務につなげたい」と話した。