ペン1本で事件解決? 似顔絵捜査官はどんだけ凄いのか…絵心ちょっとありの記者が体験してみた

 2022/11/08 21:00
「つり目」「坊主の伸びかけ」などの条件を基に記者が描いた似顔絵
「つり目」「坊主の伸びかけ」などの条件を基に記者が描いた似顔絵
 ペン1本で事件解決の糸口をつかむ似顔絵捜査官。目撃者の記憶を引き出し、より速く正確に、容疑者の特徴を浮き彫りにする技術は科学捜査が進む中でも欠かせない職人技だ。鹿児島南警察署が10月末に講習会を開き、17人の同署員とともに「絵心なら多少あり」を自負する記者も体験した。

 目や鼻など各パーツの写真を合成する「モンタージュ写真」と比べ、似顔絵は短時間で作成でき、証言に合わせて微調整できる利点がある。県警鑑識課によると、県内の似顔絵捜査官は57人。今年は8月末までに約60枚作成したという。

 まず平均的な顔のバランスを意識して輪郭と髪形を決める。「つり目」「たらこ唇で額は広い」などパーツの特徴を捉える。たたき台になる絵を描き、目撃者とすり合わせながら容疑者の人相に近づけていく。

 年代、目鼻立ちなど提示された特徴に沿って記者も描いてみたものの、イメージが固まらず、とても時間内に完成できない。

 隣の原田尚輝巡査長(29)の筆運びは迷いがなく具体的で緻密。美術大卒で似顔絵捜査官に魅力を感じ警察官になったという。現在は交番に勤め、年数回描いている。「目撃者が容疑者の記憶と書き手の顔を混合しないよう、なるべく顔を見せずに聞き取っている」と、こつを語る。

 目撃者と捜査官役の2人一組で似顔絵を作るコンテストもあった。記者は原田巡査長と組み、目撃者役を担当。モデルの男性の特徴を原田巡査長に伝えると、20分足らずで描き上げた。

 証言を目に見える形に変え、容疑者に迫っていく似顔絵捜査官。技術の伝承も大切な役割だ。この道20年以上で講師の寺田一成巡査部長は「目撃者に寄り添い、共に作り上げていくことが重要」。宇都英紀署長は「ドラマの世界だけでなく、実際に似顔絵が解決の端緒になることがある。技術向上につなげたい」と力を込めた。