増える子どもの糖尿病「肥満から発症するケース多い」 専門医が警鐘、コロナ下で世代問わず症状悪化も

 2022/11/12 11:00
糖尿病について話す鹿児島大学大学院の西尾善彦教授
糖尿病について話す鹿児島大学大学院の西尾善彦教授
 14日は「世界糖尿病デー」だ。国内の患者は約580万人、鹿児島県内には約7万人いるとされ、増加傾向にある。鹿児島市で来年5月に開かれる日本糖尿病学会の学術集会会長を務める鹿児島大学大学院の西尾善彦教授(62)に、糖尿病の現状などを聞いた。

 -最近の患者の状況は。

 生活習慣に起因する2型糖尿病になる小児が増えている。食事の欧米化が進み、スマートフォンやゲームの発達により外で遊ぶ機会が減り、肥満から糖尿病を発症するケースが多い。世代を問わず新型コロナ下の影響も大きい。外出自粛による運動不足やストレスで、症状が悪化する人が増えたといわれている。

 -具体的な症状は。

 初期の頃は自覚症状がないことが多い。症状が進むと、喉の渇き、頻尿、むくみや足のしびれなどが出て、失明や腎不全につながる場合もある。コロナの重症化リスクも高まるので健康診断はしっかり受けてほしい。

 -2型になりやすい人は。

 仕事が不規則な50歳以上は注意が必要。特に男性は内臓脂肪が付きやすいためリスクが高い。

 -予防法は

 糖質、タンパク質、脂質のバランスを意識した食事、腹八分を心掛けてほしい。食事で取り込んだ糖の50%は筋肉に取り込まれるため運動が有効。体の中で最も大きい太ももの筋肉を鍛えるために、階段の上り下りやスクワットを日常生活に取り入れるといい。

 -世界糖尿病デーに合わせ、13、14日は鹿児島市の鶴丸城御楼門などを青くライトアップ。13日はウオーターフロントパークで花火を打ち上げる。

 患者への理解促進と、鹿児島初の学会集会開催への機運を高める狙いがある。集会のテーマは「糖尿病学維新-つなぐ医療 拓(ひら)く未来-」。医師や研究者ら約8000人が集まり、オンラインで約4000人が参加し、最近の研究成果や治療法を発信する。明治維新の地で活発な議論ができればと思う。