ベトナム人4人のアパートから盗品200点「仕事なく困っていた」 目立つ実習生の失踪、犯罪…防ぐには

 2022/11/13 11:00
押収した盗品の一部と空き家への侵入に使ったとみられるドライバーや手袋=鹿児島市の鹿児島西警察署
押収した盗品の一部と空き家への侵入に使ったとみられるドライバーや手袋=鹿児島市の鹿児島西警察署
 鹿児島県内の空き家に侵入し、窃盗などの疑いでベトナム国籍の元技能実習生の男4人が逮捕された事件は、盗品とみられる腕時計やカメラなど約200点が自宅から押収された。「仕事がなく、遊ぶ金や生活費に困っていた」と供述。同郷の実習生らは「苦しくても絶対にしてはならない」と落胆する。「職場になじめず孤立し、失踪や犯罪に走る人もいる」と実習生を取り巻く労働環境の改善を求める声も上がる。

 4人は20、30代。2019年に来日した。鹿児島西署によると、30代の2人は「今年6月ごろから盗んでいた」と供述している。盗品をリサイクルショップで売って換金し、山分けしていたとみられる。

 4人のうち3人は洋酒を盗んだ窃盗罪などで起訴され、1人の初公判が7日、鹿児島地裁であった。福井県の実習先から失踪し、22年6月ごろ、逮捕されたもう1人を頼って鹿児島市に移住。交流サイト(SNS)などを通じて2被告と知り合い、「仕事」と称して盗みを繰り返していたとされる。

 3被告の1人と働いたことのあるベトナム人男性実習生(36)は「職場の人間関係に悩み、生活費に困っていた」と振り返る。最近は働いている様子がない割に、パチンコに行くなど羽振りがよく、不思議だったという。30代ベトナム人女性は「車の運転や指示役を割り振り、盗みを企てている様子を見聞きしたことがあった」と明かす。「逮捕を知り鳥肌が立った。彼らの家族はみんな心配している」と声を震わせた。

 鹿児島労働局によると、県内の外国人労働者は、届け出が義務化された07年以降、最多の8880人(21年10月時点)。農水産業や製造業などを支えており、ベトナム人が54%と最も多い。県警犯罪統計書では、21年の来日外国人の刑法犯摘発は40件20人で過去5年で最多。半数以上を窃盗が占める。法務省の調べでは同年に県内で失踪した技能実習生は121人に上る。

 ベトナム人実習生の男性(33)は「在日外国人は犯罪などの報道で目立つことが多く、同郷として恥ずかしい。悪い印象のせいか、日本人との間に壁を感じる」。特定技能の20代ベトナム人男性は「職場でいじめられたり、(実習生の受け入れ仲介などを担う)監理団体に相談しても無視されたりして逃げる人を見てきた。円安で追い詰められる人は増える。本人だけの問題ではない」と話す。

 外国人の就労支援を全国展開する「アセアンハウス」(東京都)の佐々翔太郎代表は「大半のベトナム人が仲介手数料など借金を背負って来日する。転職できない技能実習生は雇用主と対等な関係を築きにくく、賃金未払いや、孤立しやすい労働環境から逃げ出してしまう」と指摘。「真面目に働きたい人がほとんど。周囲の関わり方一つで防げる犯罪も多いはずだ」と訴えた。