想像超えた絶滅生物アンモナイト。海中の環境に適応し、殻の巻き方に法則性。「異形巻き」には熱狂コレクター
2022/11/21 11:29

日本を代表する異形巻きアンモナイトのニッポニテスミラビリス。ミラビリスとは素晴らしいという意味のラテン語。北海道小平町産で、高さ約10センチ。
アンモナイトといえば、どのような形を想像しますか? 渦巻き形の殻を持つものではないでしょうか。この連載で紹介した、鹿児島県・獅子島で見つけた「グレイソニテス」、北海道の巨大な「パキデスモセラス」もこのタイプです。
このほかに、殻がUターンを繰り返して球のような形状になる「ニッポニテス」(日本の名前を冠するアンモナイト)の仲間や、クエスチョンマークのようなS字形になる「プラビトセラス」も生息していました。このように平面的な巻き方とは異なるタイプは、「異常巻きアンモナイト」と呼ばれています。
でも、この「異常な巻き方」は、病気や奇形などではありません。巻き方には法則があることが科学的に解明され、海中のさまざまな環境に適応した結果だとされています。ですから私は「異常巻き」ではなく、「異形巻き」と呼ぶことを提唱しています。
なぜこんな形になったのか。中生代の海をどんなふうに泳いでいたのか。想像は膨らみます。
異形巻きアンモナイトの化石は、国内外に熱狂的なコレクターがいます。欧州やアメリカ産と形状が大きく異なる日本産は、海外のコレクターの垂ぜんの的になっています。種の違いもありますが、その不規則な形から移動は苦手だったと考えられるため、地域によって形が大きく異なっているからです。
獅子島のクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)が発掘された幣串の海岸からも、巻き貝のような塔状の「マリエラ」、クリップのような形の「アニソセラス」がよく見つかります。これらは地質年代を決める良い示準(物差し)になっています。
不思議な姿に謎だらけの生態、想像を超えた絶滅生物です。
【プロフィル】うつのみや・さとし 1969年愛媛県生まれ。大阪府在住。会社勤めをしながら転勤先で恐竜や大型爬虫類の化石を次々発掘、“伝説のサラリーマン化石ハンター”の異名を取る。長島町獅子島ではクビナガリュウ(サツマウツノミヤリュウ)や翼竜(薩摩翼竜)、草食恐竜の化石を発見。2021年11月には化石の密集層「ボーンベッド」を発見した。著書に「クビナガリュウ発見!」など。
(連載「じつは恐竜王国!鹿児島県より」)
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