全国有数の養鶏産地・出水 鳥インフル厳戒下、農家落胆 「早めの対策取っていたのに」「感染拡大阻止へ全力」
2022/11/18 08:29

道路に消石灰をまく出水市職員ら=17日午後4時半、同市高尾野
出水市内では、84戸が肉用鶏、採卵鶏合わせて400万羽以上を飼う。養鶏部門の農業産出額は全国3位の174億1000万円(2020年)に上り、特に鶏卵は19、20年と続けて「日本一」となった。
今季は11月に入って、出水平野で越冬中のツルから高病原性鳥インフルエンザウイルスが相次いで検出され、1〜17日の感染羽数は57羽と過去最多を記録している。市は防疫対策を最高レベルに引き上げて警戒を強めていた。
椎木伸一市長は「ラムサール条約登録を受けて越冬地への立ち入り規制を実施するとともに、消毒を強化するなど早めに対応してきたが、(昨年11月に続き)再び市内で疑い例が出たことは残念」とショックを隠せない様子。17日午後の庁内会議で、PCR検査での陽性確定を見据えた態勢を確認し、同日夕からは疑い例が出た農場周辺の通行規制を始めた。
出水市に隣接し、同様に養鶏の盛んな阿久根市は、午後6時から市役所で対策本部会議を開催。西平良将市長が「例年になく死んだ野鳥が確認されている。全力で取り組んでいこう」と呼び掛け、市内農場への消毒薬配布などを決めた。
生産現場でも緊張が高まっている。
赤鶏農協(出水市)の田下豊組合長(66)は「いつどこで出てもおかしくないと身構えてはいた。系列農家には改めて注意喚起していく」と気を引き締めた。阿久根市内の養鶏農家の口は一様に重く、ある関係者は「不安で仕方ないが、やり尽くしたと思えるくらい対策を徹底するしかない」と自らに言い聞かせるように話した。
同日は農林水産省でも緊急対策会議が開かれ、野村哲郎農相は「県や関係省庁と連携し、初動対応の迅速な実施に万全を期す」と述べた。18日は塩田康一知事とオンラインで会談する。
◇◇
鹿児島県は18日早朝、出水市高尾野の養鶏場で見つかった鳥インフルエンザ疑い例について、遺伝子(PCR)検査で感染を確認したと発表した。九州の養鶏場では今季初。農林水産省は高病原性の疑いがあり、殺処分対象となる「疑似患畜」と判定。県は同日午前4時から発生農場の採卵鶏12万羽の処分を始めた。発生農場を中心とする3キロ圏内を移動制限区域、3~10キロ圏内を搬出制限区域として移動を制限。制限区域付近には消毒ポイントを7カ所設置し、車両の消毒を開始した。
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