秋冬早朝に相次ぐ車輪の空回り…素早い運行再開の頼みは運転席の“常備品” JR九州在来線

 2022/11/20 10:33
ホームや線路に散乱する落ち葉=10日、霧島市隼人町嘉例川のJR肥薩線表木山駅
ホームや線路に散乱する落ち葉=10日、霧島市隼人町嘉例川のJR肥薩線表木山駅
 秋から冬にかけ、鹿児島県内のJR在来線では、線路に葉が落ち、車輪が空回りする「空転」が相次ぐ。山間部を走る日豊線などは朝露による水分も加わる早朝に頻発。その度に運休や遅れが生じ、通勤・通学客が影響を受けている。JR九州は滑り止め用の砂を車内に常備するなどの対策を取っている。

 10月2日~9日、吉都線と肥薩線で、計7件の空転が発生した。いずれも線路上に堆積した落ち葉が原因とみられている。昨年12月は、日豊線の霧島市内の区間で空転が続発し、利用客約1500人に影響が出た日もあった。2019年12月には、豊肥線の滝水(熊本県阿蘇市)-豊後荻(大分県竹田市)で、豪華寝台列車「ななつ星in九州」が空転で立ち往生し、阿蘇駅への到着が約8時間遅れた。

 JR九州によると、空転は、落ち葉が車輪とレールで踏みつぶされることで、葉に含まれる成分「タンニン」とレールの鉄成分が化学反応を起こし、レールに黒色の被膜が付着することで起きる。雨や結露などで水分が加わると、被膜がペースト状になり、より滑りやすくなる。

 特に上り坂で発生しやすい。日豊線や吉都線、肥薩線で例年相次いでいるのは勾配を走るからだ。

 JR九州鹿児島支社は、空転が発生した区間でレールを磨いているほか、線路周辺の樹木の伐採や清掃に取り組む。だが、「範囲が広く、空転が起きていない場所も含め、全ての区間で作業をするには限界がある」と言う。このため、立ち往生した際、早期に運行再開できるよう各列車の運転席には滑り止め用の砂を常備。じょうろやペットボトルに砂を入れ、運転士がレールに沿ってまいている。

 JR九州広報は「なるべく発生しないよう対応しているが、自然相手でゼロにするのは難しい。利用者の方々には、ご理解をお願いしたい」と話した。