大規模噴火を想定、桜島で総合防災訓練 7月の警戒レベル最高時は住民に混乱も…避難情報の伝え方を工夫

 2022/11/20 07:30
避難完了板を玄関先に掲げ、避難する住民=19日、鹿児島市桜島赤生原町(画像は一部加工してあります)
避難完了板を玄関先に掲げ、避難する住民=19日、鹿児島市桜島赤生原町(画像は一部加工してあります)
 鹿児島市桜島の大規模噴火を想定した総合防災訓練が19日、桜島であった。7月の爆発で噴火警戒レベルが最高の5(避難)に引き上げられた際、課題となった住民への情報伝達に重点を置いた。

 気象庁が警戒レベルを3(入山規制)から4(高齢者等避難)、5に段階的に引き上げたことを想定。県や消防など68機関と住民の計約2000人が参加した。

 7月のレベル5引き上げ時、市は有村地区と、古里地区の一部33世帯51人に避難指示を出し、防災行政無線と緊急速報メールで伝えた。「大規模噴火の切迫」「これまでの噴火の激化」など桜島に関する情報は明確に示さず、住民に混乱が生じ、市や公民館長に問い合わせがあった。レベル5引き上げから、避難指示まで1時間半かかり、対応の遅れを指摘する声も出た。

 避難情報をいち早く、分かりやすく伝えるため、訓練では防災行政無線で「大規模噴火の可能性が高まっている」と放送。桜島赤生原町では、ヘルメット姿の住民が自宅を出て、到着したバスに乗り込んだ。同地区の萩原貞信公民館長(64)は「アナウンスが具体的なのはよかった」と話した。

 訓練では、避難済みであることを示す「避難完了板」を家の玄関先などに掲げるよう全世帯に呼びかけた。両端に蛍光テープを貼ったA4サイズで、市が10月以降順次配布した。視察した下鶴隆央市長は「消防の残留者確認も迅速にできる」と意義を強調した。

 7月の爆発は24日夜に発生。噴石の飛散距離が2.4キロを上回ったとして、気象庁は桜島に初めてレベル5を適用した。同程度の噴石の飛散が3日間なく、27日にレベル3に戻した。