新型コロナとインフルエンザ、同時流行に現実味 警戒強める医療関係者 鹿児島は両方の患者1日1万人想定
2022/11/22 09:00

診療能力強化のためPCR検査機器を追加購入した「きいれ浜田クリニック」=16日、鹿児島市喜入町
「11月に入り発熱外来の患者が増えてきた。年末年始にかけて大きな波になるのを覚悟している」。鹿児島市喜入町の「きいれ浜田クリニック」の浜田努院長(44)は危機感を示す。
夏の「第7波」で発熱外来に患者が殺到したことを踏まえ、PCR検査機器1台を追加購入。コロナの検査キットも余裕を持って1000回分用意した。「インフルエンザを一緒に診断できる同時検査キットも確保し、同時流行に備えたい」
政府は同時流行が起きた場合、ピーク時の1日の患者数はコロナが「第7波」の約2倍の45万人、インフルエンザは30万人の計75万人と試算。都道府県に「外来医療体制整備計画」の作成などを求めている。
政府対策では、重症化リスクが低い人に国が承認するコロナキットでの自己検査を促す。陰性で受診希望なら電話・オンライン診療やかかりつけ医で診断を受け、必要に応じ抗インフルエンザ薬を処方してもらう。高齢者らは従来通り速やかに外来診療につなげる。
関係者によると、県は政府の目安を参考に、両方の患者数を1日最大1万800人と想定。900近い発熱外来の診療可能人数と比べたところ、平日は大きな問題はないが、土日祝日で対策が必要と分かった。
県医師会の大西浩之副会長(61)=薩摩川内市=は「診療能力が落ちる土日祝日は診療時間の延長などが必要。郡市医師会と協議して遅くても来月までに体制を整えたい」と説明する。
県の担当者は「同時流行で発熱外来の逼迫(ひっぱく)が避けられるかどうかは自己検査が鍵になる」と強調。ただ、薬局などで購入できるコロナキットは、ワクチンと違って費用負担が生じる。「流行状況を見ながら協力を呼びかけたい」
政府対策の柱の一つ、電話・オンライン診療を行っている県内の医療機関は194カ所(6月末時点)で全体の1割にとどまる。ある医師は「発熱症状の病気は他にもあり、オンラインだけでインフルエンザと診断するのは難しい」と指摘。実施機関自体が少なく、活用が進むかは不透明だ。
厚生労働省のまとめによると、全国では9月以降、6府県でインフルエンザの学年・学級閉鎖が発生している。感染症に詳しい鹿児島大学大学院の西順一郎教授は「インフルエンザは既に昨年の水準を上回っており、今年は流行する可能性が高い。新型コロナと双方のワクチン接種を検討してほしい」と話す。
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