コロナ下で定着「マッチングアプリ」安心して利用するには? ロマンス詐欺、ビジネス勧誘…連絡先の安易な交換はNG

 2022/11/22 12:00
若者の間で定着しつつあるマッチングアプリだが、使い方には注意が必要だ
若者の間で定着しつつあるマッチングアプリだが、使い方には注意が必要だ
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面での出会いの機会が減る中、「マッチングアプリ」が新たな婚活の形として定着しつつある。鹿児島県内でも、結婚に至るカップルがいる一方、投資詐欺などの被害も相談機関に寄せられている。

 本人確認が不要で料金が利用量で決まる出会い系サイトと違い、マッチングアプリは身分証明が必要な月額課金制。各アプリの比較などをするサイト「マッチアップ」によると、婚活、恋人探しなど国内に10種以上の大手アプリがある。男性の利用が多く、女性は無料で参加できるものが大半だ。

 鹿児島市の主婦(26)は今年7月下旬、1年前にアプリで出会った男性会社員(27)と結婚した。交際までの期間は2週間。女性は「出身地も職場も違い、アプリがなければ出会えなかった。目的がはっきりしているので、交際や結婚までが早い人が多い」と話す。

 約10人と会った末、男性会社員(26)と交際した同市の20代女性看護師は「職場に出会いがなく、医療従事者なので外食できない時期も長かった」と明かす。ただ、「出会い系イコール犯罪の温床」とのイメージが根強い両親はアプリに抵抗感があり、理解を得られずにいるという。

 明治安田生命保険が「いい夫婦の日」に合わせて毎年実施する全国調査(今年の有効回答1620人)によると、2022年に結婚した人の出会いのきっかけはアプリが最も多い22.6%。コロナが流行した20年から急増し、職場や学校を抜いて初めて首位となった。

 アプリ専門家でマッチアップの伊藤早紀編集長(32)は「感染拡大で街コンがなくなった時期に急激に需要が高まった。60代が増えるなど利用層も広がっている」と分析。スマホ一つで自分好みの相手を探せる点が魅力で、効率の良い出会いを望む人が増えているという。

 県からの委託で結婚仲介事業を展開する「かごしま出会いサポートセンター」の岩崎光憲副センター長(71)も「昔は職場の上司が社員の仲を取り持つことがどこの会社でもあったが、今はセクハラと言われかねない。職場以外で恋人を探す人が増えた印象」と出会いの過程の変化を語る。

 一方でアプリの出会いをきっかけに被害に発展することも。女性看護師(26)は2年前、アプリで知り合った県外の男性から財布の1万円を抜き取られた。男性に会うのは2回目。まん延防止期間だったため外で会えず、男性宅に招かれ、被害に遭った。「恥ずかしくて誰にも相談できず、人間不信になった」と漏らす。

 国民生活センターによると、出会い系サイトやマッチングアプリ関連の全国の消費相談は、19年度の8927件から21年度は10199件と増加傾向。県消費生活センターにも投資や副業に関する相談があり、「困ったらすぐ、消費者ホットライン(188)に連絡を」と呼びかける。

 被害を防ごうと、多くのアプリ会社では公的書類による本人確認や不適切なユーザーの排除など管理体制の強化に力を入れる。

 24時間365日の監視体制をとる「ゼクシィ縁結び」は、初めて会う相手との場所や日程調整を代行するサービスを提供。初回は絶対に相手の車に乗らず、人目のある場所で時間を決めて会うことを推奨する。

 「タップル」では、自己紹介をしっかり書いているか、本人確認マークが付いているかなど相手を見極める方法を具体的に示し、直接会うまで連絡先の交換を禁止している。担当者は「不正目的で利用する人は、アプリでの監視から逃れるため、連絡先を交換したがる傾向がある」と明かす。

 「カップリンク」は悪徳業者や不正利用者の特徴を分析する自動検知機能と人の目での二重チェックを強化。ビジネス勧誘やロマンス詐欺などの被害を防ぐため、やりとりに怪しい傾向があった段階で利用停止にすることもある。「コロナ前に比べ、鹿児島の利用者は1.6倍に増えた。運営側と利用者の双方で注意し、安全な出会いの場を提供したい」と話した。