文科省が学校給食で会話〝解禁〟 教育現場は歓迎、それでも…黙食「当面続ける」 コロナ新規感染増を懸念 鹿児島

 2022/11/30 11:00
黙食など感染対策をしながら給食を食べる生徒ら=2022年4月、鹿児島市の郡山中学校
黙食など感染対策をしながら給食を食べる生徒ら=2022年4月、鹿児島市の郡山中学校
 学校給食での黙食を不要とする通知を文部科学省が出した29日、鹿児島県内の学校現場は歓迎しつつも、新型コロナウイルスの新規感染者が再び増えつつある状況を懸念。「当面は黙食を続ける」と一様に慎重な姿勢を見せた。

 県内では、学校給食時に児童生徒が同じ方向を向き言葉を交わさないようにしているケースが多い。鹿児島市の甲東中学校も同様だ。文科省の通知に、内輝久教頭は「会話しながら給食を取るのは、食の楽しみを知る食育の面でも大切」と喜ぶ。ただ29日は、県内で9月23日以来の700人を超す新規感染者を確認。依然として感染対策が必要とし「今後の対応は慎重に検討する」とした。

 中郡小学校(同市)の日高京美校長も「話ができる給食にはまだ踏み切れない。正面を向いて食べる今のやり方を当面は保ちたい」。ただ“黙食不要”が明文化されたことで「コロナ禍前のように飲食を伴う学校行事が早めにできれば」と期待を寄せた。

 感染症に詳しい鹿児島大学大学院の西順一郎教授は「子どもにとってより危険なインフルエンザの流行期にも黙食はしていなかった」と指摘し“黙食不要”を歓迎。今後の在り方について「3年近く黙食が続き、話しながら食べることに抵抗がある子もいるだろう。まずは同じ方向を向いたまま隣の人と会話することから始めるなど、徐々に元に戻すのが望ましい」と話した。

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