〈詳報〉馬毛島基地計画 鹿児島県知事受け入れ容認 アセスで防衛省の「知事意見に沿い対応する」点を強調 西之表市長は賛否明言避ける

 2022/11/30 08:04
馬毛島基地計画を容認する理由について説明する鹿児島県の塩田康一知事=29日、県庁
馬毛島基地計画を容認する理由について説明する鹿児島県の塩田康一知事=29日、県庁
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転と自衛隊基地整備計画で、塩田康一知事は29日の県議会本会議で「総合的に検討した結果、県として理解せざるを得ない」と述べ、容認する考えを初めて表明した。八板俊輔市長は容認姿勢を強めながらも、同日開会の市議会で賛否の明言を避けた。

 防衛省は基地関連工事の環境影響評価(アセスメント)を公告後、早期に着工する方針。

 塩田知事は本会議後、容認する根拠として、防衛省がアセスを巡り「知事意見に沿った対応を取る」と回答した点を強調。中国などを念頭にした安全保障環境に加え、市が防衛省に市有地を売却し、米軍再編交付金を受け取る意向であることも挙げた。

 八板市長より先に表明した理由については、アセス最終まとめの評価書の公告が「早ければ年内になる」と指摘。「工事が進む際の体制を整えるために早い対応が必要」と説明した。

 県議会で議論し、自治体と関係機関で国と協議・連絡する組織を設置する考えも示した。県は同日、防衛省に対し、アセス評価書に記載する環境保全の適切な実施などを求める要請書を出した。

 八板市長は知事の表明を受け、今後も連携を密にするとした上で「市民の不安解消や安心安全の担保に至っていない部分もあると考えており、市長としての立場で判断したい」とした。

 浜田靖一防衛相は同日の記者会見で「大変ありがたい。地元と緊密に意思疎通を図り、施設整備を進めたい」と述べた。

 塩田知事は25日に八板市長と県庁で面会し、「判断材料はそろいつつある」との見解で一致していた。市側には計画容認の意向を事務レベルで28日に伝えたという。