【馬毛島基地計画】鹿児島県知事受け入れ容認 西之表市民「なぜ今」「誰の声聞いた」 国と県が調整? 賛成派も「唐突」の声
2022/11/30 08:30

知事の「容認」発言について、報道陣に考えを述べる八板俊輔市長(左)=29日、西之表市役所
県議会と同じ日に開会した西之表市議会。八板市長の所信表明の真っ最中に知事表明の一報が届いた。計画に反対し、市長のリコール(解職請求)手続きを進めている三宅公人さん(70)は、仲間と情報を共有するため、傍聴席ですぐさまパソコンを開いた。「読み通りです」。メッセージにそう打ち込んだ。
予感はあったという。25日の塩田知事と八板市長の面会で、2人は環境影響評価(アセスメント)を巡る防衛省の対応をそろって「おおむね真摯(しんし)」と評価した。「国を交えて容認方向で調整したのではないか。知事が責任を半分引き受け、市長をバックアップした形だ」といぶかった。
当の八板市長はこの日も「市民の安心安全の確保と不安解消に全力を尽くし、かつ期待の声に最大限の努力を注ぐ」と述べるにとどめ、計画の賛否に踏み込まなかった。
地元では、アセスの最終まとめとなる評価書の公告に合わせて知事、市長ともに賛否表明するとみる向きが多かった。知事は容認の理由に、防衛省がアセスを巡って「知事意見に沿った対応を取る」と回答した点を挙げたが、対応の一端しか明らかになっていない。
それだけに賛成派にも「唐突」との印象が広がった。「ありがたいけど、知事が先に表明することで市長への批判が強まらないか。せめて知事と市民が対話する機会があってよかった」と浜島明人市議は話す。
県が塩田知事の「容認発言」当日に、防衛省に要請書を送付したことも疑念を抱かせる要因の一つだ。杉為昭市議は「県と国が念入りに調整していた、とみられかねない。知事は誰の声を聞いて判断したのだろう」と指摘する。
反対運動を主導する市民団体「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」は、アセスの問題点を指摘する塩田知事宛ての文書を提出していた。山内光典会長(71)は判断の根拠を疑問視する。「市や防衛省がこうだから、というのは状況判断でしかない。地元の声はどこにいった」
一方、市街地では「国の決定は変わらない」と冷静に受け止める市民も少なくなかった。無職日高豊子さん(77)もその1人。ただ「ウクライナ侵攻では基地が攻撃された。馬毛島も狙われてしまうのではないか」と不安を訴える。
地元に先んじた判断は、海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)の米無人機の配備と異なり、これまでの塩田知事には見られなかった。市の中堅職員はこう分析する。「知事が言えば市長も言いやすくなる。そう考えるとつじつまが合う」
あわせて読みたい記事
-
新型コロナ 鹿児島県内で新たに89人感染、1人死亡
3月31日 16:08 -
「新婚さん、3世代世帯いらっしゃい」県営住宅の入居対象を拡大 鹿児島県、子育て支援策3月31日 14:30
-
大人も子どもも「自転車乗るならヘルメットを」 4月から全年齢で努力義務化 鹿児島県警が呼びかけ3月31日 13:41
-
訪問介護報酬163件30万円を不正請求 南さつまの事業所を3カ月の指定停止3月31日 13:15
-
包丁持って郵便局へ 「金を出せ」5万5000円奪う 自転車で逃走、15分後に現行犯逮捕 都城3月31日 10:50
-
鹿児島県議選が告示、定数51に77人が立候補届け出(午前9時現在) 4月9日投開票3月31日 10:16