ツルも危険を察知? 鳥インフル急拡大の出水から韓国に緊急避難か 「北に帰って行った」目撃情報も複数

 2022/12/01 14:30
ツル観察センター近くでえさをついばむツル。例年に比べ閑散としている=11月30日、出水市荘
ツル観察センター近くでえさをついばむツル。例年に比べ閑散としている=11月30日、出水市荘
 世界的なツル越冬地の出水平野で異変が起きている。出水市のツル博物館クレインパークいずみには、「ツルが数百羽単位で北上している」などの目撃情報が鹿児島県内外から寄せられ、韓国南部・順天(スンチョン)市の越冬地に例年の約3倍、約1万羽が集まっているとの報告もある。通常の北帰行の始まりは1月下旬から2月。これまでにない現象だ。鳥インフルエンザウイルス感染が急拡大しており、「緊急避難している可能性がある」と分析する専門家もいる。

 同パークによると、情報が寄せられたのは11月中旬以降。北帰行ルート上の長島町や熊本、長崎県の住民から「数百羽単位で北上していた。何が起きているのか」と電話やメールが来た。直近1週間は、出水市民からも「ツルが飛んでいった」「飛び方が北帰行だ」との声が複数寄せられている。

 今季は前年より6日早い10月12日に初飛来。例年なら11月中の羽数調査で1万羽を超えるが、鳥インフルエンザの感染が広がり一度も調査できていない。それでも地元の監視員は「例年より明らかに少ない」「11月初旬より減っている」とみる。

 出水に次ぐ越冬地・順天市の干潟は、出水に飛来する前に一部が立ち寄る地域でもある。越冬するのは例年約3000羽。今年は11月中旬から増え、21日に約9800羽に達したという。

 出水市で今季、死ぬなどして回収されたツルは30日時点で995羽。過去最多だった20年度の125羽を大きく上回る。ウイルス検査に携わる専門家は、過去にない規模の感染拡大をツル同士の飛沫(ひまつ)感染が原因とみている。

 鳥の渡りを長年研究する山階鳥類研究所(千葉県)の尾崎清明副所長(71)は、ツルは死んだり衰弱したりした個体に敏感に反応すると解説。目撃情報や順天の状況を踏まえ、「過去に例がなく断言できないが、異常を感じて出水から一時避難しているのかもしれない」と推測する。再び南下するか、とどまるかは不明で、「今季は出水での安定した越冬の習性が崩れるかもしれない」と話した。

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