馬毛島基地計画 知事が容認表明した5時間後、防衛相は述べた「地元自治体全てから立場が示された」 西之表市長の態度表明はもはや…

 2022/12/02 10:18
馬毛島基地計画を容認する理由について報道陣に説明する鹿児島県の塩田康一知事=11月29日、県庁
馬毛島基地計画を容認する理由について報道陣に説明する鹿児島県の塩田康一知事=11月29日、県庁
 鹿児島県西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)移転と自衛隊基地整備計画について「理解せざるを得ない」と容認した塩田康一知事。同市の八板俊輔市長が計画への態度を明言していない中、種子島の他2町は知事の表明を前向きに受け止めた。

 島内でいち早く防衛省への協力姿勢を打ち出した中種子町の田渕川寿広町長は「島内3市町の議会と2町の首長が既に賛意を示した。島全体である程度意見が一致している」。南種子町の小園裕康町長は「八板市長より知事の表明が先だったことは意外」としつつ、「容認理由の言葉には賛否で割れる西之表市への配慮がうかがえた」と話す。

 11月29日の県議会で塩田知事が計画容認を表明した約5時間後、浜田靖一防衛相は会見で「地元自治体全てから立場が示された」と述べた。西之表市の理解も得ているかのような発言は、主導権を同省が握っていることを示唆する。

 知事は県議会後、報道陣に「工事が進む際の体制を整える早い対応が必要だ」と説明した。中種子、南種子両町には県から早速、県と種子島1市2町による協議会の打診があったという。しかし、地元ではこうした県の動きを冷ややかに見る向きもある。

 理由の一つが3市町の連携の希薄さだ。FCLP移転反対で2007年に設立した熊毛地区の協議会は「公正中立の立場」を求めて離脱が相次ぎ、18年に解散。以降、2町はそれぞれ関連施設誘致を進め、独自に計画と向き合ってきた。「一度別れてまたまとまれるのか」との声が漏れる。

 工事着手を見据えて出張ってきたような県の動きを疑問視する意見もある。「3市町を取り込み、国から情報を得たい思惑だろう。もっと前から県が引っ張るべきで、地元感がなさ過ぎる」。島内自治体のベテラン職員は嘆いた。

 塩田知事は1日、都内の自民党本部に姿を見せた。クルーズ船観光振興議員連盟の総会に出席する目的だが、都道府県知事では1人だけ。種子島を地盤とし、議連会長を務める森山裕衆院議員(鹿児島4区)と言葉を交わす場面があった。

 森山氏は取材に「国際情勢や地元の方向性を考えての判断だろう」とし、「私たちも防衛省も説明責任を果たしさらに理解をもらう努力が必要だ。知事もその前提で容認を表明したと思う」と話した。

 防衛省は馬毛島整備工事の環境影響評価(アセスメント)の最終まとめとなる評価書を年内にも公告し、速やかに着工したい考えだ。関係首長で1人取り残された形となった八板市長。最重要視されていたはずの態度表明は、もはや計画への影響力を失いつつある。

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